駄々っ子襲来、カミナリどっかん!
空が好きだ。カラリと気持ち良い雲ひとつない青空の時もあれば、ドンヨリと鬱屈な雨空の時もあったり、多彩な表情を浮かべてくれる。気まぐれで困る、けれどそんな空だから目が離せない。天気ひとつでその日の気分も左右される。自分の生活環境を統べている存在、そんな人が人間界にもいるのが、僕の最近の悩みだ。空よりも大分タチが悪い。そして、僕は彼をそんなに好きじゃない、面倒くさいとしか言いようがない。
「テツヤアアアッ!!!風の噂でテツヤが僕のこと面倒くさいから嫌いってきいたんだけどおおお?!?!違うよね!?僕のこと好きでしょ?!好きって言ってよおおおおおっ!!!ねえええええっ?!?!僕はテツヤのこと宇宙一愛してるのにいいいいっ!!!!!」
今日もやってきた、ゴロゴロと駄々こねる、ゴロ司様。彼こそ僕の生活環境を乱しまくる悪因・赤司征十郎君。なぜだかどうしてか不幸なことに、赤司君は僕を好いているらしい。雨嵐の日曜日、わざわざ危険を冒して僕の家へ迷惑な愛を殴り込んできた彼。赤司君が鼻を鳴らす度、激しい雷が鳴り響く。そう、まさかのまさか、彼の心模様は空模様とリンクしているのだ。どうしよう、このままでは、新しく買った冷蔵庫が危うい。その中に冷えたバニラシェイクも入っている。致し方ない、
「好きですよ、ゴロ司君」
背に腹はかえられぬ。潔くスッパリと嘘をついて、雷神と化している駄々っ子を宥めようとしたのに、
「…すき?…わぁい!!!好き!!好き!!テツヤアアアアっ…!!!!」
狂喜乱舞、ゴロゴロピッシャーン!!!!
「我が家の冷蔵庫がああああっ…!!鎮まれゴロ司イイイイイっ…!!!!」
さすがバカ司様、僕への激しい愛は1億Vの稲妻の如し。
ポタッ…ポタッ……滝のような雨は止み、雷雲は消え去った。鎮静化した空からは、小雨がサラサラとこちらの様子を伺って怯えたように降っている。まるでショボくれる赤司様のようですね。
「…て、テツヤ…ごめん…せっかく買った新品の冷蔵庫が壊れちゃって…」
プイッ!今更反省したって簡単に許してなんかやりません
「…ふんっ!」
「!!…て、てつやぁ…!…ううう…僕の愛の馬鹿野郎っ!!!…テツヤが好き過ぎるからって荒ぶり過ぎだよ…シカト、一番、辛い…」
…ショボーン、うな垂れる赤司君。叱られた子犬のようで、少し可愛いと思ってしまった。後日、超高性能の最新型冷蔵庫が黒子家にやって来て、続いてマジバのバニラシェイクが大量に届けられ…最後に赤い薔薇の花束にメッセージカード付きで「テツヤ、ゴメン、愛してる」許すしかないじゃないですか、おバカさんのゴロ司君。
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