2月13日、人生の折り返し
2014/02/13 00:43

【老いてゆく冬の日に】


つめたい空気、キコキコ鳴る自転車が通り過ぎ、スァッと私の肌を風が撫でた

滑らかな油が足りないのか、キコキコキコキコ、後にギコギコギコギコ

思いを馳せるは、私のからだ

こわばってゆく繋ぎ目、灼けるように軋む関節

あの五月晴れの日、新緑のトンネルを滑らかに駆け抜けた時に、いっそ戻れたら

水分が枯れていく、人生の山を越え、あっという間に飲み干された、いのちの源水

ヒラヒラ葉っぱ、緑から茶色へ、筋は情けなくしおれ、葉脈ばかりがイヤに目立つのだ

こんな命、役立たずの、枯葉

自分が恨めしく、自分が痛ましく

どうしてここまで生きてきたのだろう

何の為に、何の為に

こうして、何も掴めぬまま、心臓を突き抜ける秋の風に飛ばされ、抵抗虚しく地面に落ち雪に埋れ、淡々と死を待たされる

凍結された心、ひどくおそろしい、これが終わりなのかと

おわり、それで、おわり

やっと、おわり、なんだ

つらかった、かなしかった、くるしかった、それがおわる

わたしのいのちはここまで、ここまで歩めて、良かったのだと

弱く静か、かすかに息を吐いて吸える、その小さな喜びを知って

“私”を終われる、本当の幸せを見つけた

そうして、私の脈が途絶えるその時、この世界のどこかでまた新しい命が芽吹けば、それでいい

花は咲く、花はしおれる、花は生まれ変わる

ほら、大丈夫、怖くない

今はもう、キミの春が待ち遠しい


2014.2.13 ニニ子





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