夏の怒りと無防備と


「僕、夏が嫌いです」


今年一番の暑さという今日の部活は最悪そのものだ

俺の隣で休憩するテツは、冬生まれで暑さに弱いと自分では言っているけれど、誰よりも涼しそうな見た目をしている

元々、あまり汗をかかない体質なのか、滴り落ちる汗の量は比較的少ないように思えた

他の奴らは汗ダクダクでほとんどがタンクトップになり、黄瀬と俺は上半身裸だ

それに反していつも通りのテツは不機嫌そうに眉をグニャリと変形させて、一言“夏嫌い宣言”

なんとなく、どうして、嫌いかがわかる

これでも、テツの相棒兼親友だからな

夏が嫌いな理由、それは、


「…クソッ…、まだまだか……このサウナのような体育館で、こんな激しい練習をしているというのに……テツヤはこれ以上、肌を見せてくれない……普段、着替える時も隙が無くて、ろくにあの真っ白な美しい肌を堪能出来ないというのに……せっかくの真夏日のチャンスが…いつも通り、普通の半袖・ハーフパンツ……こんな暑さだからこそ、タンクトップ・ショートパンツで…いや、むしろ…ほぼ素肌で練習して欲しいのにっ!!…手強いな…さすがは僕の鉄壁天使……だが、僕は諦めない…どうにかして…テツヤの夏の無防備さを引き出さねば…!!!…うぅむ…次のメニューは、どうするべきか……(ブツブツ)」


夏の暑さを利用しようとする、肌フェチ変態馬鹿のせいなのだろう


「…青峰くん、夏の暑さで余計に頭が沸いた傍迷惑野郎を…僕の手でガッツリとクールダウンさせてあげた方がよろしいですよね?」


ニコリ、この季節にそぐわない絶対零度の笑みを見せたテツが、このあと身も凍るような赤い惨劇を起こしたのはいうまでもなかった








「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -