うたたね小春日和
うららかな春の陽射しは、やわらかな眠気を運んでくる
読みかけの小説へ意識が集中していたはずだったのに、だんだんぼやけていく文字の羅列
頬杖をついたまま、頭がこっくりこっくりしているのが、なんとなく分かるけれど、この心地良さに抗えない
人がまばらな昼休みの図書室はとても静かで、僕の眠りを妨げるものはなかった
物語の世界へ吸い込まれるように、僕はあたたかな夢の世界へ落ちていく…、
はずだったのに、
ふわぁり、ぴたり、ぎゅうっ、
何かに、背後から、包まれ、密着され、抱き締められる感覚で、途端に意識を戻された
その、何か、とは、
「…どういうつもりですか、赤司くん…即刻離れて下さい…不快過ぎて、異様に目が冴え渡りました」
「……僕は、うたたね天使・テツヤを優しく包み込む、ただのうららかな春の陽射し・アカシさ……安心して、僕の愛の夢へ落ちるがいい…フフフ」
僕の安心な日常生活をことごとく妨害する、勘違い変態野郎だった
「落ちるのは、ポカポカ陽気に誘われた、変質者ですよ」
さて、こんな春の日は、お得意の絞め技で、湧いてでてくる変態の退治でも始めましょう
頚動脈、締め付けて、落としてあげますよ、うららかな春のバカシくん
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