ようこそ、本と妄想の世界へ


珍しく大人しく本を読む我等が暴走魔王・赤司征十郎。中庭のベンチでひとりひっそりと読書にふけっていた黒子の隣にソッと座っている。はじめ黒子は赤司の気配を感じた途端、絡まれたくなくて反射的に逃げようかと思ったが、いつものようにベタベタ求愛してくる素振りはなかった為、立ち上がって踏み出した足を元に戻したのだった。黒子は最近ハマっているミステリー小説を手に、読者をのめり込ませる巧みな文章へまあるい目を惹きつけられている。赤司はというと、これまた珍しく最近話題の切なくあたたかい家族もののエッセイを真剣に読んでいるではないか。黒子ははじめ普段の彼からは似つかわしくないその本のチョイスに首を傾げたが、やはり自分の読みかけの本の続きの方が気になるのか、すぐに興味は削がれてしまった。穏やかな午後の昼下がり、本の世界へ誘われた赤と黒のふたり。そうして、ゆったりと静かな時間が流れて…

「…くっ!!…うぅ…っ!!」

急に頭を抱えて苦悶の表情を見せる赤司。その額には脂汗が滲み、痛みを耐えるように歯を食いしばっている。

「…赤司くん?!大丈夫ですか?」

鉄壁のポーカーフェイスを崩して心配する黒子。いつもの無駄にハイテンション・無駄に元気な不死身過ぎる彼の痛ましい姿が黒子の心へ強い不安感を呼び起こす。彼を支えようと優しく背中に触れた手、落ち着きなくひどく焦った黒子の声に反応した赤司は、息も絶え絶えに口を開き…

「…ハァハァ…テツヤ、この本を読みながら…お前との幸せ家族計画を妄想していたら…極度に興奮し過ぎてひどい頭痛が…!!」

心配して半端なく損した、怒りと呆れ混じりの黒子チョップが赤司の脳天へ容赦なく振り下ろされたのは致し方ない。




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