で、終わったと思ったのですよ、本当に。
意識なくした瞬間に、ヴァルヴェルデが全部終わらせてくれたと思っていた。何も痛くもなかったから、最後の情けで痛みがないようにやってくれたのかな、と思いながら目覚めたらいまだに秘密の部屋で。
じわじわと体重をかけられていた。あの、あなたの今の体だと、私の体完全につぶされていますからね。
あれ?
え?
え?
「生きて…る」
ズシリ、と負荷が増えた。冷たくて硬い、鱗の感触。
「あの、ヴァルヴェルデさん、やるなら一思いに」
『私が人間の思い通りになると思うな、セシル』
あれぇ?名前?
『腹が立つ。業腹だ。中途半端に救って手を差し伸べておきながら、勝手に放り出そうなどと』
おかしいな、どこかで聞いた、言葉だ。
『貴様があの人間に憤っていたではないか』
確かに。私が、教授にずっと思っていた言葉だ。
『責任をとれ。その生涯をかけて、私に捧げろ』
「ヴァルヴェルデ君、それ人間でいうところのプロポーズあだだだだだ」
言ったらもっと怒るのわかってるから言えないけど。
そんな命がけの照れ隠し、いらないやい!
あぁ、でも。
なんだかんだで生きちゃっているよ私。
笑っちゃうくらい泣きたい気分だ。