4000番リクエスト
カーンカーンってチャイムが鳴りました。待ちに待ったお昼休みです!!昨日頑張って作ったチョコチップクッキーをはち…じゃない、三郎君に渡しにいくのです!いざ!!

私は三郎君と付き合っています。まだ1ヶ月も経ってないけれど、なんというか、えーっとえーっと…イ、イチャイチャ…ってほどでもないんですけれど!ラ、ラブ…ラブ…させてもらっています…!
キャー恥ずかしい!!
「わ!」
「ん」

「ごめん大和さん、大丈夫?」
「こちらこそごめんなさい!うん、大丈夫です。ごめんなさい」

なんて思っていたら廊下を歩いていた久々知くんにぶつかりそうになってしまいました!

「これから二組に行くんですか?」
「あぁ。どうかした?」
「よかったら鉢屋くん呼んでほしいんですが…」
「いいよ」

久々知君はいつもとっても優しい同じクラスのお友だちです。三郎君ともお友だち。この間もお付き合いのことで少し相談させていただきました。といっても、誰と、というのは秘密にしています。恥ずかしいのであまり公言したくなくて…。三郎くんは私と違ってお友だちが多いので、余計に恥ずかしいのです。本当は誰かに見られそうな、こういうこともしたくはないのですが、作ってしまいましたし…。

久々知君に言われて出てきた鉢屋君は何だか眠たそうなお顔。
「どうかしたか?撫子」
「また寝てました?」

一瞬口をひきつらせて目をそらしてしまいました。図星ですね!
「ふふふっ」
「それ言いに来たのか?」
ばつが悪いのか、少し拗ねてしまいました。

「昨日クッキー作ったんです。甘いの苦手だって聞いたからカカオ96%のにしました」
「96%…?」
「はい」

言うと鉢屋く…じゃなかった。三郎君は、今度は笑顔が固まってしまいました。96%は苦すぎますよね…。失敗だったでしょうか?

「あの、96%はさすがに苦すぎるかなって思って、5つだけミルクチョコにしたのもあります」
「そうか!」

今度は三郎君、すごく嬉しそうにしています。やっぱり甘いの苦手でもやりすぎはダメなんですね!!

良かったー。と安心してニコニコしてると三郎君が
でさぁ、といいながら背を屈めてきました!
「か、顔…近くありません…か?」

そのままニヤッと笑って、
「今度、いつチューさしてくれる?」
!?

「ばっ…馬鹿じゃないですか!?」
そんな恥ずかしいこと学校で言わないでくださいよ!もうっ!!


***
side久々知兵助


「兵助、お昼行こう」
チャイムが鳴って、お昼になった。

「あぁ」
お弁当持って、雷蔵たちのいるクラスへ向かう。出入り口を通るとき、タイミングよく歩いてた女子とぶつかりそうになった。
「わ!」
「ん」

「ごめん大和さん、大丈夫?」
「こちらこそごめんなさい!うん、大丈夫。ごめんなさい」

女子っていうか科学委員の大和さんだったんだけど。彼女の持つ茶色い小箱から微かにチョコレートの香りがした。

「これから二組に行くんですか?」
「あぁ。どうかした?」
「よかったら鉢屋くん呼んでほしいのですが…」
「いいよ」


「三郎、大和さんが呼んでる」
「ん、さんきゅ」

言うと三郎はちょっと気だるそうに廊下へ向かった。

「八は?」
「生物委員の当番だよ」

チラッと廊下を見ると楽しそうに話してる三郎と大和さん。

「三郎って大和さんのこと狙ってんの?」
勘ちゃんがサンドイッチを開封しながら雷蔵に聞いた。当の雷蔵は ん?とだけ言ったけれど、

「大和さん彼氏いるけど」
「へぇ、可愛いもんね。確かに居そう」
「それも自分から告白したんだって。こないだ言ってた」

「どうして兵助があのこのことそんなに詳しいの?」
「クラス一緒だし委員会も一緒」
「そうなんだ。んー…うーん…」

あ。雷蔵が悩みだした。
何に悩んでいるのだろう?勘ちゃんと軽く目をあわせる。

廊下から大和さんが
「甘いの苦手だって聞いたから──」云々と話してるのが聞こえる。その手にはさっきの小箱。

「三郎って甘いの大好きじゃなかった?」
「好き好き。あれは三郎に渡してるんじゃないんだね」
「じゃあ誰に?」
「さぁ」

何でもいいけど雷蔵も三郎もそろそろ食べないと休み時間なくなるんじゃないか?


「馬鹿じゃないですか!?」
珍しい大和さんの大きい声に無意識に目がいく。雷蔵も驚いて廊下を見てた。その廊下では三郎がお得意のニヤニヤ笑いをしており、大和さんは真っ赤な顔。

おいおい、大和さんいじめてんなよ。

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