しりとり会話
「最近雨ばかりだね。そう思わない?」
「嫌な天気だよ」
雷蔵と三郎が縁側に顔を向けて呟く。
「夜遅くから降ることが多いよな」
「何度も雨音に起こされるんだ。困ったものだよね」
「寝る時間が短くなる…よ」
「よく授業中に欠伸をこらえているのはそのせいだったのか」
「頑張って寝ないようにはしてるみたいだけど」
「…どうしようもないじゃないか。眠いものは眠いんだから」
言ったあとに三郎は小さく「あ」と零した。作戦に亀裂が走ったらしい。
「雷蔵は居眠りなんぞしていないが?」
「影でこそっと欠伸してるよ。ね、三郎」
「うん。私はよく見かける」
段々眉間にしわが寄る三郎に対して、相変わらず外を眺める雷蔵と彼。
「ルームメイトだから気がつくんだろう」
「うーん、そうかもね」
「…ね」
「…」
「…」
「…」
「ね、じゃねぇよ。鉢屋アウト」
「とうとう二人になったね。とりあえず三郎罰ゲーム」
「無理だって!!二人して私のこと狙ってただろ!!」
詰まっていた息を吐き出してギャースカ騒ぎ出したのは、しりとりに負けた鉢屋三郎である。
「露骨すぎるんだよお前が。最初から辿々しいし。語尾を"よ"で終わらせて俺を負けさせる気だったな?」
「なんかわかりやすいよね、八と戦法が似てる」
「あいつは自滅だった!会話が成り立たなくなって──」
「ダブルアウト」
「はぁ!?」
「あ。順番抜かし」
「仕方ない。三連アウトで罰ゲームも三倍だな」
「まだ続いてたのか!?」
「もー。三郎今ので4連だよ」
「四倍はなかなかキツいが仕方ないよな」
「もうやだ会話したくない…」
***
しりとりの順番は雷蔵→夢主→三郎でした。
20120918~1023拍手ログ