優しい優しい竹谷くん



「竹谷くん竹谷くん。へっこりべコんだ俺を慰めてください」
「あぁはいはい、なんですか?」
「あとジュースいる?」
「もらいます」

「…つっこめよ」
「なんでやねん?」
「どないやねん。わかってなかったなら一応言うが『へっこりべコんだ』じゃなくて『べっこりヘコんだ』な」
「おほー」
「…」
「で、なんですか?」

「卒業検定落ちた」

「え?卒検って…え!?」
「…なんだよ」
「まだバイクとってなかったんですか?」
「中型はとった。今回は大型な」

「えぇー…」
「んだよ竹八このやろー」
「その非力な体でよくやりますね」

「…」
「あ。もしかしてバイク倒しちゃったんですか?」
「違うし。急制動しくったんだし」
「あぁ。剛さん中型のときから苦手でしたもんね」
「クラッチ握るん早いん」
「あと加速が遅いんですよね」
「そして停止線超過…うぐぅ」
「よしよし」
「やめて泣く」


「んで、なんか俺が100%悪いのに教官にめっちゃ謝られた…。ごめんな、ごめんなって」
「あぁー。教官も通してあげたかったんですよ」
「余計悲しくなるからやめてほしい」
「まぁまぁ」

「そんでな、片付けしてたら先に検定終わったおっちゃんたちにまた慰められた」
「それでこのジュースを奢ってもらったと」
「そそ。でも俺検定始まる前にペットボトル一本飲んだし。腹たぷたぷになる」
「ごちそうさまでした」
「ん」

「次の検定はいつなんですか?」
「明後日」
「は!?」
「俺は今日今から補習」
「あぁ…なんだ、焦った」
「今日雨とか聞いてないし…頑張ってくる」
「行ってらっしゃーい」

back top

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -