僕の自慢の



謹賀新年。
彼ら忍者のたまごたちは、年も終えよう時に自身の実家に顔を出す。

めでたいその時のために。


「兄ちゃん、ただいま!」
「あぁ、団蔵。よく帰ったな。」


どうもどうも始めまして、あ、間違えた。初めまして。目が覚めたらタイムスリップしてしかも赤ん坊になっていました。剛です。俺は確か寝たはずだった。確かそのはずだった。ここはどこだ俺は誰だ馬糞がくせぇぞ俺は剛だ。

「兄ちゃん、体の具合はどう?」

しかもなんだか体が弱くなってる俺です。俺は確か健康優良児のはずだった。確かそのはずだった。なんだあれか?この平和に暮らしやがって糞野郎っつって神様怒ったか?よって糞くせぇ馬屋の長男に生まれ変わりってか?

ぶっちゃけファッキンくたばれ能無し。テメェの方が何万倍も平和だろうが事故も殺人もねぇだろうがこの野郎。だからってこんなちび助にこんな不安な顔させるくらい悪くなくてもいいだろぉぉぉぉぉおおおお!!!馬鹿な俺でも流石に罪悪感あるわ!!

仮にも弟らしいこの団蔵、俺に似ずに立派な眉毛をお生やしです。あとオッサンも眉毛立派だった。あ、オッサンって一応親父らしいです。でも実の親父は眉毛よりビール腹が立派だった。


まぁんなことはどうでもいいんだよ。問題はどう帰るかだよ。体に障るからって外に出れても馬には乗せてもらえない、ご飯は薬膳料理とかいう科学的根拠のないもんばっかり。年が近い清八にも心から心配され大事にされて何も出来ずいつの間にか齢16になりました俺おめでとさん!!

さ、こんなもんで俺の近状はわかっただろうか?わかってなくてもいいや、あ、嘘だってわかってよ。頼む頼む。そろそろ返事をしてやらないとこの弟も心配性で大変なんです。

「今日は体調が随分いい。それで、学校の方はどうだ?しっかりやってるか?」
くれぐれも俺みたいなバカ高行くような頭にはなるなよ!

つってもあれか、こんな時代で高校なんかねぇか。具体的には何時代かわからんが。みんな着物だし、平安時代?違う?

「しっかりやってるよ!昨日も補習授業だったんだ!」
と、誇らしげに語るちび。おい、それ危ないだろ。その年から補習って…どんだけ悪いんだよ流石の俺でもちゃんとやってたよ!?

「そういやぁ、夏頃も補習とかで帰るのが随分遅かったな…。」
「えへへぇ!」

コラ、と頭を叩こうとするのと同時に咳が出た。

「コホッゴホッ」
「に、兄ちゃん大丈夫!?全然良くないじゃないか!」
言いながら慌てて布団を寄せる弟。ちなみにさっきまで寝転がってた俺です。全く空気の読めない咳だ。唯一の兄弟とぐらい好きにコミュニケーションさせろ。只でさえわけのわからん学校に行ってるっつうのに。

「悪いな、大丈夫だ。
団蔵、こっちへ来い。」

軽く手招きして抱きしめやる。向こうの俺じゃ絶対やらなかったこと。何故って恥ずかしいし子供が暴れるし、まずやろうとさえ思わなかっただろう。実はこの抱きしめた時の圧迫感が好きだったりする。小さいころは婆ちゃんたちによくやってもらってたなー。安心するわ。

「兄ちゃん…?どうしたの?」
団蔵は恐る恐る聞いてくる。なんかその声が不安そうで弄りたくなった。ぎゅっと、更に強く抱きしめ


「あと、何度こうできるかな…。お前は強く生きろ。」

と言ってやる。すると向こうも抱きついてきた。あー、この圧迫感いいわー。


「…兄ちゃん…!」
なんだか涙ぐんでるのは気のせいだろうか?いじめすぎたか。ガバッと離してやり、

「うがい手洗いは済ませたのか?風邪をひいてはいけないからしっかり予防してこい。」
と言ってやった。

すると無言で走って出て行く。おいおい、なんだあの情けない顔。ショタコン共に見せたら即死するだろ。


この体になっていいことと言えば、何を言っても体のせいにしてもらえることだ。でも流石にやりすぎたかなー。今度からはもう少し軽いものにしてやろう。
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