2222番リクエスト



最近めっきり寒くなりましたね!今日とかすごく寒くありませんか!?寒いですよね!?田村くんがちょっと鼻をずびずび言わせてました心配です!いや、僕が心配してもただの迷惑であることはわかってるんですけども!!

さて、実は僕近々六年生の装束を着た人たちに追いかけられる未来を見まして…。
え?追いかけられる…って合同授業で?とも思ったんですが、先生に聞いたらそんな予定はないっておっしゃられました…!
ぼぼぼ僕何か悪いことしたのかな!?いや、六年生にはほとんど関わっていない…はず。保健委員の善法寺先輩はたまに三反田くんのお手伝いしてるときに顔合わせますけど…。
つまり顔見るだけでも気分を害させてしまったってこと!?最低だよ僕!!

そ、それでですね、僕考えたわけですよ!もし僕がちゃんと善法寺先輩と…その、ちゃんとお話をしていたなら…あ、いやさせて戴けるなら!この未来は変わるのではないかと!!
だってそんな…六年生に追いかけられるとか怖すぎるよ…しかも結局捕まるかどうかもわからないから余計に怖いよ…。



コンコン
「どうぞ。あ、剛先輩!」
そして医務室に行くと最近仲良しの三反田くんがいました。

「怪我でもなさったんですか?」

あ、いや、今日はそういうのじゃなくてね!
「善法寺先輩は…?」
「六年生は今日は午前中に実習らしくて、もうすぐでいらっしゃると思いますよ。」
そうなんだ!ありがとう!!

「善法寺先輩に何かご用なんですか?」
あー…うーん、まぁ三反田くんだしいっか!

「近々、六年生から逃げている未来を見たんだ」
「えぇ!?剛先輩が!?なな、何か悪いことしちゃったんですか!?」
三反田くんは自分のことのように青ざめる。

多分…そんなことしてないはずなんだよねー。
「心あたりがない」
「…ですよね。だって剛先輩あんまり六年生と話したりしませんもんね!きっと先輩たちの勘違いですよ!!だって戦い好きな用具委員長といい、戦う会計委員といい、作法は作法だし…。」
す…すごく三反田くんが僕を庇ってくれてる…!!すごく嬉しいよ!ありがとう三反田くん!!
でも…あの、作法は作法だしって…それ悪口…?あ、いや僕は何も思ってませんですハイ。

「僕先輩が帰ってきたらそんなことしないようにお願いします!!」
えええ!そんな!!う…嬉しいけど…うーん、あ、でもそういえば次の授業実技だ!準備しなくちゃいけないんだった!!
でも先輩とのことを後輩にお願いするなんて…やっぱりダメだよね!

「また後で来る」
だからそんなことしなくていいからね!!


***

で、なぜ僕はこんなことになっているのでしょうか…!?

授業も終わって用具倉庫に片付けに来ただけなんだけど…。
僕の後ろには壁、目の前には…いえ、いておかしいわけではないんです!用具委員長ですもんね!!

「食満先輩…。」
「お前は確か四年ろ組の大和剛だな。四年生にして五年い組久々知兵助にも勝る俊敏さと六年ろ組中在家長次のように寡黙でどの委員にも属さない一匹狼と渾名されているが…。噂通りの面構えだ!」

なにそれええええええぇ!!?
何ですかそれその渾名絶対僕じゃないですよ!!
僕俊敏じゃないですよ寡黙じゃないですよ!?僕おしゃべり大好きだもん!!
誰がそんなこと言ってるの!?誰がそんな人違いしてるの!?

「人違い…では?」
「はっはっは!予想通りの謙虚具合だな!!お前の噂を聞いて小平太や文次郎が是非手合わせしたいと意気込んでいたぞ」

やめてえええぇ!!謙虚じゃないです絶対人違いですううううう!!!
六年の先輩となんて無理です五年生とも無理です同級生でも無理です怖いですひいいいいい!!!

「そして俺も是非お前と手合わせしたい!」

無理です!!
「今日の授業はもう終わりか?六年はさっきまで実習だったから午後からは何もないんだ。お前も今から昼だろう。それなら食べる前にやった方がいいよな」

なんかすごく話が進んでるううううう!?
何がそんなに嬉しいのか…いや、楽しみ…なんですか?食満先輩はさっきから口角が上がりっぱなしの目尻下がりっぱなしです…。
どどどどうやって断ろう…!

「あぁ、それと…。」
食満先輩がふと笑みを消して目を合わせる。

「お前には未来がわかるっていうのは本当か?」

!?
「…」
何故ご存知なんですかあああああああ!!?いや別に隠してるわけでもなかったけれども!!ていうかなんでさっきから僕は壁に追いやられてるの!?僕に逃げ場はありませんかそうですか!怖い!!

「いや、同室の伊作がそんなことを言っていたんだが…。その件を仙蔵や長次も気にしている。」

善法寺先輩いいいいいいい!!!
なんで?なんで!?
なんで知ってるかも気になるしなんでそんなことをあっさり言っちゃうかも気になるしなんで先輩たちに広まってるの!?
そしてまさかの気にされてる僕!!

あ!あれか!!ちょっと前に綾部くんが三反田くんから聞いたってとき!
僕が行ってから聞いたとすると、あの時善法寺先輩医務室に居たよ!!

…そっかあの時か…あの時なんだ…。
これはもう僕が調子乗りすぎたってことですよね…自業自得だ。


「それで実際どうなんだ?きちんと大和の口から聞かせてくれ」

どうしよ…言った方がいい…かな?
いやでも…未来が見えるとかセコすぎるじゃん忍者的に!それが本当ですなんてことになって、悪い城とかからしたらそんな力邪魔じゃん殺すじゃん!!
僕命狙われるじゃん!!

よし、一応ドアは開いてる!
僕はまだ死にたくないです!!

ドアへと顔を向ける。
気付かれない様に…って考えると気付かれやすいから、ごく自然な動作で…用具ももう返したことだし、遅すぎず急がずに倉庫から出る。

「おい、大和…?」

何てったって此処は食満先輩のテリトリーだ。
振り返って腕を広げる。
「食満先輩、すみません」

バンッと音がたつほど用具倉庫を閉じる。

三十六計逃げるが勝ち!!
とまでは行かないかもしれないけどせめてちょっとは…こう…距離を!

いくらか軽く走ってから後ろを振り返る。
確か最近建て付けが悪いとかって聞いてたからこんな風に閉めると開けるのに時間が…

ガンッと蹴る音がして再び戸が開く。
開いた先の食満先輩は笑みが深く深く…そりゃもう怖く。

「なるほど、お前の返事はよーくわかった」

うわあああああああ!!!


そうして食満先輩から逃げていると…

「お!留三郎!名前と鬼ごっこか?私もいれてくれ!!」
「鬼ごっこだと!?そんなことより俺と組み手をしろ大和!!」
「大和剛。少し聞きたいことがあるんだが」
「…ボソボソ」

結局五人ーー!!
ていうかちょっと聞こえましたよ中在家先輩!「面白そうだからまぜてくれ」って言ったでしょう面白くないです僕は必死なんですでかい態度とりましたすみません!!

こうなったら未来通り走るしかないか!もう走ってるしね!!

そこを曲がったら木の上に隠れてー…
ザッ

ヒュッ

よし、未来通り中在家先輩の縄標が飛んできた!
かわすように屋根へ上がり逃げる。そのまま追いかけてくるのは食満先輩と中在家先輩、七松先輩。

「さぁどうする大和!下に降りても仙蔵たちが待ち構えているぞ!!」

どうするって言われても逃げるしかないですからね!!
下に居ると言っても立花先輩たちと逆側に降りればいいわけでー…よいしょっと。

シュタ

「やるなぁ大和!!」
何だかどんどん食満先輩のテンション上がってませんか!?やるなぁとか言われましても!!

次は、確かこの辺に綾部くんの蛸壷が…あった!!また印付け忘れてるよ危ないよ!!

たたたた…ぴょん

たたたた…ドーン
「うわああああ!!」

「留三郎!」

ちらっと後ろを見ると今まで先頭を走っていた食満先輩がおらず、さっきの蛸壷から手が出ていた。
食満先輩ごめんなさい!!


確かこれで先頭は七松先輩に代わる。

そして僕が見たのはここまで…。
こっからどうすればいいの!?鐘が鳴るまで逃げ続ければいいの!?なんなの!?

「大和ー!!」

うわあああああ!!遠くにいるはずの潮江先輩たちまで追いついてきたあああああ!!!

「みな待て!」
立花先輩が突然全員の歩を止めた。
つられて僕も逃げていた足を急ブレーキさせる。

「私は疲れたので屋根から見物している」
「…ボソボソ」
「長次もだそうだ」

な、何てマイペースな…!勿論僕としてはその方が嬉しいですけど!

「おい仙蔵!お前まさか実習で体力使い切ったなんて言わねえよなぁ!!」

あ、そうだ!六年生ってさっきまで実習だったのか!!すっごいなー!僕実習やったあとは疲れて動けないのに!!すごいですさすが六年生です体力が底知れない!!

ちなみにもしここで立花先輩に食い下がられたら僕無理なんですけど…!
潮江先輩お願いしますこれ以上けしかけないでください!!

「貴様の安い挑発には乗らん。私は疲れた」

よかったあああああああ!!!
…ていうか僕なんで立ち止まってるんだろう!?今のうちに逃げればよかったじゃん!馬鹿じゃん僕!!

「君たち、何をしているんだい?」
この声は…叔父上!!

「あっ!お前はタソガレドキ軍忍び組頭!」
「ひょっとこなもち!!」

!?

シュタっと僕と先輩方の間に降りたった叔父上はそのまま足をカクリとさせた。
「雑渡昆奈門です」
「君たち私の名前覚える気ないでしょ」

言われた六年の先輩方は、あれ?と首をかしげていらっしゃる。
まったく…。とため息をはくものの、気を取り直したのか僕を庇うように先輩方に向く叔父上。

「私の甥っ子をこんな人数でおいかけるなんて…。そんなに彼を捕まえたいなら私を倒してからにしなさい」

!!
叔父上カッコいいいいいいい!!

「なんちゃって。言ってみたかっただけなんだけどね」

どしゃーん
そんな音をたてながら先輩方が皆転ける。

「だけど君たちさっき昼食を食べたばかりだろう?七松くんはさっきから横腹をおさえているし、潮江くんも今日の実習で体力がなくなってるんじゃないかい?」

「何故それを!!」

「いやさっきから見てたし。何にせよ、今日は組み手もできそうにないね。剛、私はこれから医務室へ遊びに行くけど君はどうする?」

あ、そうだ!蛸壷にはまった食満先輩も連れて行こ…いや、お連れしなくちゃ!!きっと怪我してる!
まぁ正直な話これ以上誰かと関わるの疲れるし僕なんかが連れて行かなくても食満先輩ならご自分で医務室に行ってらっしゃるだろうし僕なんかが行ってもお前なんかの世話になる気はないんじゃモブこの野郎とか思われるかもしれないけど!!
けど僕のせいで落ちてもらったんだし穴も埋めておかなきゃだめだよね!!

「後から(食満先輩を連れて)行きます」

「そうかー、じゃあ今日はこれでしまいだな。今度またバレーやろうな!大和!」

無理です!!
とは言えないので一応会釈しておいた。
でももうこりごりだ!!
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