三反田に沢山聞いてわかったこと。

剛はタソガレドキの組頭の親類である。
剛が口元を隠しているのはその人の教え?かもしれない。
剛はよく保健委員の手伝いをする。
剛が居ると仕事がはかどる(気がする)。
剛は未来がわかる。

一気に聞いたら善法寺先輩に怒られちゃったなー。あと最後の方三年生が半泣きだったのはなんでだろ?
真面目な話してるのに、それじゃあダメじゃないか。

時間ももうすぐ夕飯時だし、食堂へ行こう。
少し遠くで誰かが蛸壷に落ちた音がした。はて、そういえば剛がさっき、三年生がどうの蛸壷がどうの言ってた気がするけど…まぁいいか。


食堂に着いたら三木と剛の二人で食べてた。私だけ置いてけぼりなんてひどい。
仕方ないからいつものように剛の隣に座って食べた。
剛がAで私はB定食。
「今日はおそろいじゃないね」
「…たまにはそれもいい」

ご飯を食べたあと剛は用事があるから、と先に長屋へ帰ってしまった。

あ、そうだ。未来がわかるんなら…。
「三木、剛っていつもテスト満点なんでしょ?」
「ん、剛?あいついつもクラスの平均ど真ん中だぞ。それに比べて僕はいつも高得点!滝夜叉丸なんかいつか蹴落としてやる!!」
「なんだ、つまんないの」
「何!?」
つーん。
三木がぎゃあきゃあ言ってきたけど無視。滝夜叉丸の自慢をいつも聞き流してるからなんてことないよ。



気になるなー、気になるなー。私気になったら止まらないタイプだから。何でも知りたいタイプだから。
そんなわけで剛のお部屋に突撃します。剛はびっくりした顔もしなかった。
それもわかってたからなの?
「実技はともかくとして、どうして筆記試験は満点じゃないの?」
「…何の話だ?」
「剛は未来がわかるんでしょ?」

剛から返事はなかった。
嫌われたかな、なんで知ってるんだって怒らせたかな、せっかく仲良くなれたのに嫌だな、それは悲しいな。
「三反田から聞いたんだ、ごめんなさい」
「何故謝る。言いふらす気がない(聞いてくれる相手がいなかった)だけで隠すつもりもない。

試験とは自分の力を試すためのものだ。そんなことをして満点をとっても嬉しくない。
確かに最近ではどんな問題が出るかもだいたいわかるが、気にしないようにしている。
ただし実技では活用している。負けるとわかっているチームが勝ったりしたら嬉しいだろう?」

剛は布で隠れてないところ、目だけで笑った。それは少しニヤリとした笑み。逆転勝ちが好きなんだ、結構意外。

「まぁ、未来なんて皆一緒だよね」
「というと?」
「最後は死ぬ。ただそれだけでしょ?」
「…。」
「それじゃあね、おやすみ」
「良い夢を」

良い夢を、なんて久しぶりに聞いた。普通言わないよね、剛カッコいいー。


大和剛は正直な人。
返事するのは遅いけれど、きっと自分の気持ちを正しく表現する言葉を探しているんだ。
大和剛は面白い人。
言葉を選んで私を楽しませてくれる。

そういえばまだ剛の色んな表情見たことないな。怒った顔も泣いた顔も、困った顔も。
明日お願いしてみようかな。
とりあえず今日はお風呂入って寝ちゃお。
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