side雑渡


仕事の休憩がてら保健室へ遊びに来たら甥が居た。この子父親に似て恥ずかしがりで人見知りだから、しかもそれは一切傍目に見えないっていうね。でもあんなに後輩連れてくるとは思わなかったよ。少しは成長したんだね。

でも、
「なんでそんなに近くに座るの?」
「すみません、近いですか?」

どうやら人見知りは治ってないらしい。もしくは僕の存在に安心して甘えてるのかな?四年にもなってそれはないだろうけど…この子なら有り得る。

「それより君は?怪我でもしたのかい?」
そう善法寺君が聞くのでそちらを向く剛。絶対この子びっくりしてるよ…。わかりにくいねぇ。

「あ、僕が穴に落ちそうだったところを助けてくれたんです!」
「名前は大和剛というんだ。仲良くしてやってね。」
甥は、四年ろ組です。と言って深々と頭を下げた。

「口布をしてるからか、雑渡さんと似てるね。
あと雑渡さん、まだ寝てる伏木蔵をお膝に置かないでください。」
え?いいじゃないべつに。




side主

お昼になりました。
少し保健室で善法寺先輩たちと談笑させていただき、叔父上がお仕事とかでお帰りになられたので僕もついでに退室させていただきましたありがとうございます。緊張したー。あーもー…今日は誰とも話さず近寄らず無音で終わらせたい。

いつも通り時間をずらして食堂に行きます。皆さんの邪魔にならないようにします。おばちゃんにAランチを注文し、といっても僕はいつもAランチなので注文しなくても僕を見ただけでAランチを用意してくれるおばちゃん大好きです。いつもありがとうございます。奥の隅っこで壁を向きに座るのが僕の定位置です。誰も見ず見られず邪魔せず邪魔されず。

でも今日は誰かがお話しに来ます。
誰だろう…。今日少し仲良くなれたから…じゃない、仲良くなっていただいたから、三反田君だったら少し嬉しいな。

「ねぇねぇ、なんで穴があるってわかったの?」
ひぃ!綾部くん!?びびびビックリした!!いつのまに隣来たの!?ていうか声がちょっと怒ってる!?僕何かした!?

え、あ、と答えに困っていると
「ねぇねぇ、口布取らずにご飯食べるの?」
「ねぇねぇ、どうして君は僕のターコちゃんたちに捕まってくれないの?」
ねぇねぇ、ねぇねぇ、ねぇねぇ、

そ、そんなにいっぱい聞かれますとどこから答えるべきかわからないですごめんなさい最初の質問何でしたっけ!?
は…話を逸らそう!
えーっとえーっと、
「Aランチ美味しい」
「僕もAランチ。お揃いだね」

!?お、おお…お揃い!?

「いただきまーす」
「いただいてます」

「君面白いね」
!?
「…ありがとう」

え!?僕何か変なこと言った!?お先に戴いてるからそう伝えただけなんだけど…うーん、変だったかな…?
お、面白いってほめ言葉かな!?馬鹿にして言われてるのかな!?それならありがとうって変じゃなかった!?

そう口を動かしながら悩んでいたら、綾部くんがお芋をくれました。
「僕これ嫌いなんだけど、食べてくれない?」
「……」
で、でも土井先生も練り物頑張って食べてるんだからちゃんと食べなきゃ駄目だよ?あ、でも、あの、くれるなら…いただきます!喜んで!!

そう思いながら手を出したら小皿が乗りました綾部くんありがとおおおおおぉ!!

そういえばタコちゃんって誰だろ?
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