※ミツ→←木々←オビ
愛したいなら愛せばいい。
だって、愛したいのならば仕方が無いし、無理に諦める必要性もない。ただ、ひたすら愛せばいいのだ。
しかし、なぜあんた方はわざわざ顔を背け合うのか。目が合いそうになればそのまま見つめ合ってしまえばいいのに、すぐに視線を逸らしてしまう。それが不思議で堪らない。
あんた方の事だからきっとお互いの気持ちには気付いているだろうに、それにでさえ気付いていないふりをして、無駄に傷つき合う。一体、その光景を俺は何度目にしてきただろうか。
傷付けるくらいならその傷以上に愛してやればいいものを、あんた方は傷付けた事も、自分が傷付いている事にも気付いていないのだから、全く可哀想な話である。
手を伸ばさずともお互いは近すぎるほど近くに居るのだから、早く愛をあげてやってくれないか。そうでないと、お互いが望んでいない見えない壁はどんどん分厚くなってしまう。
もしそうなったら、旦那の代わりに俺が木々嬢に愛をあげてさしあげよう。それはもうたくさん、旦那より多くの愛で木々嬢を埋め尽くすくらいに、たくさん、たくさん。
俺だって、愛せるもんなら愛したいのが本音なのだから。
title by 白群