※重い










「霧野、好きだ」
「ああ。俺も」

 俺達は、毎日毎日、愛し合っている。毎日何回好きだと言っても、言われても、飽き足りなんかしない。俺は霧野を愛していて、霧野は俺を愛している。俺達は、世界で一番幸せだ。
 霧野は付き合い始めてから長袖ばかり着ている。暑い夏の日はいつも長袖の上着を羽織っていて、練習の時はサポーターを付けている。何度か暑くないのかと聞いてみたが平気だよといつもの優しい笑顔で返された。おかげで霧野の腕は雪の様に真っ白で綺麗だ。
 ある日、霧野を無理矢理だけど椅子に縛り付けた。ジャージを脱がすためだ。俺は霧野に抵抗されたりするんじゃないかと思っていたが、そんなことはなく、今日はこんなプレイなのか? なんて言って寧ろ快く協力してくれた。そうだったらいいんだろうけど、今日は残念ながら違う。霧野のジャージを思いっ切り脱がした。霧野は一瞬驚いていたけど、また優しく笑った。霧野の腕には、色白い肌には目立ちすぎる細く長い傷が沢山あった。

「霧野、この傷はなんだ……?」
「神童の“好き"と“大好き"と“愛してる"だよ」

 この痛々しい傷は俺の霧野への愛の言葉だと霧野は言った。俺が好きだと言った数だけ腕に自分で傷を付けているらしい。傷を付ける事によって、俺に言われた愛の言葉の数を忘れなくて済むといった。俺はもうやめろと言った。だって、こんなに綺麗な霧野に痛々しい傷があるなんて嫌だ。だけど、霧野は優しく笑うだけ。首を縦に振ってくれない。それじゃあ俺はもう霧野に好きも愛してるも言わないと言った。そうしたら霧野は腕に傷をつけれない。

「神童は言わずに生きていけるのか? 無理だろ?」

 確かに、無理だ。言わずにはいられない。意地悪そうに笑う霧野と一緒に俺も笑った。



title by ギルティ


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -