ヘタ短編 | ナノ


今日はティノ君の誕生日。
それなのに有休を取ることができなかった。
そのことを話すと"全然気にしてないよ"と言われたがせっかくの彼の誕生日。二人でゆっくりのんびり過ごしたかった。
上司に軽く殺意を抱きながら私は会社へと向かう。

「ティノ、行ってくるね!」

「うん。気を付けて下さいね?」

なんて可愛いんだ。
爽やかに…可愛さが残る笑顔に胸打たれながらティノにいってきますのハグをすると私は家を出た。

「今日は…僕、誕生日なんだけどな…。でもシェリランさんが仕事なら仕方ないですよね」

―――――――

同期の同僚のノロケ話を聞いていたら、ティノの声が聞きたくなった。
なので昼休みに電話した。

「シェリランさん、仕事はいいんですか?」

「うん。なんだかティノの声が聞きたくなったから…今日はごめんね…せっかくの誕生日なのに」

「気にしないでいいですよ。明日、僕のために休み取ってくれたんですよね」

「うん。今日ティノといる時間が短い分、明日はティノと一緒にいたいもん…ダメ?」

ティノがなんて返すかわかってる。
知っていて聞くのだ。
だって本人の口から直接聞きたかったから。

「嬉しいんです。僕もシェリランさんと一緒にいたいから…」

「ふふっ。やっぱりティノ大好き!…いや、大好きじゃなくて愛してる、かな?」

「シェリランさん…!」

顔が見えなくてもティノの声で彼の動揺が伝わってくる。
そんな彼も好きな私。
重症だ、とベールヴァルトさんやアイス君にも言われた。

「決めた。会社切り上げてさっさと帰る!」

「えええ!?ダメですよ!」

「ティノと話してたらティノに会いたくなった。だから早く帰るね。というかもう今から帰る!」

携帯片手にティノと話しながら荷物をまとめる。
休みが取れなかった腹いせに今日しなければならない仕事を全て終わらせてしまっていた。
だから問題はない…わけでもないけど自分の分の仕事は終わらせた。
だから帰ってティノと彼の誕生日を祝う。

「え、先輩!?」

「シェリラン!?」

後輩や同僚が間抜けな声を上げる中、私はタイムカードを通して早退した。



――――――――


「ただいまっ!」

「ほ、ホントに帰ってきた!」

驚くティノにおかえりのキスとハグをして靴を脱いだ。
ソファにダイブして寝転がる。

「よ、よかったの…?」

「実を言うと昨日、休みが取れなかった腹いせに仕事全部終わらせちゃった。だから今日は暇だったの」

「そ、そっか…」

私の隣に座るティノ。
いつものように甘えようと抱きつこうとしたら逆に彼に抱き着かれた。

「ケーキ買ってきたんだ。食べる?」

私の胸に顔を埋めたままティノはこくりと頷いた。

「じゃあ食べよっ!」

と私が言った瞬間、私とティノのお腹が鳴った。
思わず顔を見合わせると笑みが溢れた。

「その前にお昼ご飯だね…」

「そうだね…」



Hyvaa syntymapaivaa!
この先ずっとあなたとこうやって過ごせますように…!

☆☆☆☆☆

ティノ君誕生日おめでとう。
どうしてかな、君の口調もなんだかよくわからなくなるよ。
みんなに幸せをプレゼントする前に自分も祝ってもらってるといい。
モイモイ可愛いんだぞ!

ティノ君、Hyvaa syntymapaivaa!!!


10 1206 しぇりんがる




Hyvaa syntymapaivaa!
*フィンランド語で"誕生日おめでとう!"




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