ヘタ短編 | ナノ


「ヤバイ。非常にヤバイ。これはまずい。よし、ルートを呼ぼう」

泥棒か何かに荒らされたように見えるくらい散らかっている家の中。
今日は消防点検の人が来る。
つまり…家の中に人が来る。
まずい。非常にまずい。
掃除の達人を呼ぶしかない。

という訳で私はルートの家まで走って向かった。

「ルート!ルートルート!」

「まったく…朝からどうした?」

現在、朝の9時。
あたしはルートの家の前にいる。
ドアを叩いて近所迷惑など知らず、大声で助っ人ルートの名前を呼んだ。

むっつりした顔で出てきたルート。
ごめんね、大声で名前を呼んで。悪気はない訳じゃないよ!

「掃除手伝って!」

「断る」

即答ですか。悲しいよ、あたし。
今日はなんとしてもルートに掃除を手伝ってもらわなければならない。

「消防点検の人が来るんだよ〜!なんとしても今日は片付けないとダメなんだよ!」

「そうやっていつも俺に掃除を押し付けるだろ!少しは自分でやれ!」

「だって…!だってだって!いくら掃除頑張っても片付かないんだよ?」

家の有り様、ルートに見せてやりたいぞ。
本当に困るんだから!
片付く気配もないしっ!

「ホント…お願いだよ…ルート…!」

しばしの沈黙。
いいかげん、ルートも呆れるでしょ?
それくらいわかってるわよ。
それでも片付かない…。

「…わかった…。用意してから行ってやるから家で待っておくことだな」

「はーい!ルートありがとっ!大好きだよっ!」

「はいはい…」

私はルンルン気分に家に帰った。
ルートが来てくれたら掃除なんて敵ではない。

====

「なんなんだこれはっ!!」

私の部屋に入ったルートの第一声。
叫び声がとても大きいのです。ルート。

「どう掃除したらこうなるんだ!?」

「普通にしたらこうなったんだよー」

事実である。
掃除したらこうなりました。

「………シェリラン」

「なに?」

「2時間で終わらせる。その間にビールを用意しろ。いいな?ちなみに反対意見は断固として認めん」

どこかのヒーローと同じこと言ってるよ…。
しかし、掃除してくれるのだから文句など言えるはずもない。

「了解シマシタ。ルート様」

「機械か貴様は」


さて。ビールを用意しなきゃだね。
近くのスーパーまで買いに行くか。

=====

え、ええっ!?
めちゃくちゃ綺麗じゃないか!!
スーパーに行っている2時間の間に何があった?

荒らされたように汚い部屋は埃一つ落ちていない。

綺麗に洗われた食器類。
綺麗に干された洗濯物。

「ルート…すごっ!」

「このくらい造作もない。ところでシェリラン。ビールはどうした?」

「ちゃーんとあるよ。はい。ありがとう、ルート!」

とスーパーで買ってきたビールを手渡すあたし。
ルートはビール缶を開き、中のビールを飲み始めた。

「ルートありがとうね。助かったよ〜」

「掃除ができないなら、ちらかすんじゃない」

「うっ…ごめんなさい…」

しょぼんとするあたしの頭を撫でるルート。
ルートの手暖かいなあ…。

(「頼られて嬉しいとか…言えないな」)
(「頼るたびにこうやってビール飲みながら頭撫でられるの好きとか言えないよね」)

===

「ルート!掃除手伝って?」

「またか…」



☆☆☆☆☆

消防点検が近付いて部屋を片付けないといけないのは私です。はい。
片付けできないのも私です。
ルートに掃除を手伝ってもらいたいのは私です←

仕方ないのでお母さんに掃除手伝ってもらいながら頑張ります。

10 10 07 しぇりんがる




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