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「#幼馴染」のBL小説を読む
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  どうか、本来あるべき姿へ


日吉雅治(11)

えぇ、成長しましたとも。

ただ今の季節は冬です。



「ほぁたァァアア!!」



クラスにも当たり障り無くとけ込み、日々手のかかるガキの世話をしつつ可愛い弟と戯れています。



「どォりゃァァアア!!」



テニスは裕福な家庭のおかげで何の問題もなく始められました。僕の影響で他の子達(亮、ジロー、岳人、若)までテニスを始めたのは予想外でした。



「とどめじゃァァアア!!!」



え?古武術?えぇ、いい線行ってますよ。どれくらいかと言いますと、






『こっちのセリフじゃお祖父様』





ドォォオオン!!!

腹に響くような音が鳴り、ドサッと人が倒れた。

そう、僕の義理の祖父が。


この道場のラスボス的存在であるお祖父様を倒しちゃったよ僕ってば何て強い。

若はティンぺーなんだよね。



僕は…基本的には何でもあり。


ティンペーもトンファーもヌンチャクも薙刀に棒術に…もちろん剣術もそこそこ。

スルジンっていうのもなかなかお気に入り。詳細は後でね!(面倒だから←)

あーあーどんどん人間離れしていくんだけど僕。



でもさーここまで強くなっちゃうと下克上魂が色々な方向に滾っちゃってる若にまで闘志を燃やされ…


「凄いです兄さん!流石俺の自慢の兄さんです!」

『ごふぇッッ!?』


てないけどね!

純粋に尊敬されるのはとても嬉しい。そして可愛い。

しかしその捨て身タックル(という名の全力の愛情表現)は止めていただきたい。僕の身体折れる。


『わ、若はどうじゃ?』

「俺も頑張ってます!テニスも武術もまだまだですけど、兄さんに追いつけるように頑張ります!」

『…それは嬉しいのぉ』



僕の癒しだなぁ…

最近は亮も岳人もジローも癒しになってきてくれていて僕的に超ハッピーライフだよ。


僕の腹違いの弟、雅輝(まさてる)も生まれて、現在は4歳。

僕と違ってストレスとかないから、きれいな茶髪(若と一緒だね)…だけど、瞳の色は金色だった。

僕とお揃いでとっても嬉しかったり…

若はよくそれを羨ましがっていて、母親はやっぱり嫌いみたい。

ちょこちょこ私の後ろについて来る姿は可愛らしい!



まぁまとめて掛かってきても比呂士には勝てないけどね!(←NOROKE)















しかし、最近はちょっと問題がある。



「さ、最近…帰り遅くないかな?」

「は?そんなことないわよ。束縛しないでくれない?」

「あ、ご、ごめん…」


えぇ、我がお母様が絶賛浮気中。

しかも特定の人とではなく不特定多数!

あーあーどうすんの!?



「兄さん……」


若がぎゅう、と僕にしがみついてくる。

その瞳は不安に揺れている…




…あぁ、悲しませたくないな。

僕の所為ではない。私が悪いわけではないけど…





僕がいる、大切な空間も大切な人も、



悲しませたくない…




『安心せぇ…』

「…兄さん?」


僕はゆっくりと若の背中を撫でて…立ち上がった。




『俺が…何とかしちゃる』

「な、何とか…って…?」

『若。』


膝立ちになって、若と視線を合わせた。

不安は瞳にとどまらず、顔を歪めて今にも泣きそうだ。


『前の…若の本当のお母さんの名前は?』

「ひ、日吉…じゃない吉村百合…え?何でそんなこと…」



吉村百合、ヨシムラユリ…




『ありがとさん。ちょっと用事あるけぇ、またの』


「あ、兄さん!」






音をたてないように、それでいて早く歩く。

気配を絶て、空気を揺らすな、

…僕に出来ることは、何だ?




自身に問うた。



答えは一つ。





どうか、本来あるべき姿へ
(イラナイモノは、ぶっ壊す…)





「にい、さん…」

何故、消えてしまいそうなんですか
その憂いは、俺には晴らせないものですか。








………………

離婚フラグ。

お別れも近いかと…

早く柳生に会わせたいんだよわたしゃー!






 

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