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気づいたからって何ができる?

所詮は他人だろう

仲間という言葉ほど嘘臭い日本語はない

俺は俺で他人は他人

ただ、それだけ








今は放課後。

王者立海は、今日も今日とて練習三昧である。

今朝の夢見は最悪。
そのため、当然調子も上がらなかった。

「文月?具合でも悪いのか?」 『んー。ちょっとな、寝不足なだけだぜぃ…』

心配してくれるのは、ダブルスパートナーのジャッカル。
苦労性だけど世話焼きで良い奴。


「自身の体調も管理できんとは、たるんどる!!」
「文月に言っても無駄だぞ、弦一郎」


黒帽子に老け顔の真田に、糸目の柳。
三強の2人で、厳しいけれども優しい奴ら。


「酷いのでしたら、お帰りになった方が…」
「大方菓子の食い過ぎじゃろ?」

粛々としている眼鏡が柳生で、銀髪しっぽが仁王。
正反対で癖が強いけど、仲の良い奴ら。


「文月せんぱぁーい!何でもいーけど俺と試合しませーん?」


ラケットを元気良く振り回す、ワカメヘアが切原。
元気が有り余ってる明るくていい後輩。


「ふふっ…体調、悪いんだって?」


神の子、幸村精市。

全国一であるこの立海テニス部の頂点に立つ者。


『…大丈夫だぜぃ!心配すんなよ幸村くん!』


にぱっと笑って見せた。

周りの者は誰一人気づかない。

こめかみに伝う、嫌な汗に。




「心配だよ。文月…」



こいつは、

"オレ"に気づいてる。



「俺たちは、仲間だろう?」
『………』


それを分かって、こう問いてくるのだから質が悪い。



『気づいてんだろぃ…?』
「もちろん。だから聞いてるんだ」


まぁ、別に構わないけど。



勘づかれたことには勘づいていた
(だからなに?)

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