夢を見た
幼い時の、あの夢を
"わたし"はあの日
紅き孤独の果てを見た
「い、やだ…やめて…やめてよ…!」
「痛い…いたいよ…イタイ…」
「こわい…だれか…!」
「………しにたい」
『ッ………ぁ…』
魘されていた影はガバッと体を起こした。
汗で張り付く赤毛が気持ち悪い。
しかし、それ以上に胸の中心が酷く痛む。
『あのときの夢…』
ぽつり、と呟いた声は、あのときと同じようにただ空間に響いていくだけのはずだった。
バタバタバタッと綺麗にそろった足音が二つ、近づいてくる。
「兄ちゃん!」
「おはよう兄ちゃん!」
「「お寝坊さんだー!!!」」
『…賢太、爛太』
自分と同じ赤毛の幼子。
大切な…弟たち。
『"俺"は…独りじゃない』
ニンゲンは嫌いだ。
ニンゲンを嫌いな俺も、嫌いだ。
そんな俺は、
神様、オレは一体ダレですか(なんて)
(カミサマなんていないのにね)
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