大切な仲間と、解り合えたこと
自分は、
何て輝かしい光に囲まれているのだろう
俺も、
誰かの支えになれるだろうか
誰かの光になれるだろうか
2時間目、体育
男子として生活している俺は体育も男子と一緒。
一応全国一のテニス部レギュラーだし、体育はもちろん得意。
今日の授業はサッカーだ。
ピー!!
先生がホイッスルを吹く。
同時にモノクロのボールが宙を舞った。
「丸井!」
『まかせろぃ!』
昨日のことがあって、俺の心は随分と軽くなった。
今までが鉛だったかのように、体も心も。
俺自身が、ようやく"俺"を見つけられた。
鈴木(クラスメート)からパスを受け、足で自在にドリブルしながら走る。
クラスにも学校にも、まだ"表"の俺でしか接することが出来ないけど、てまりちゃんやみんなに手伝ってもらって、これから頑張るつもりだ。
…"本当の"友達になりたいから。
「あっ!仁王!」
…ボールが仁王に、文字通り"盗られた"。
仁王はそのままひょいひょいと俺と同じチームのディフェンスを避けていく。
女子からの声援がうるさい。つーか先生もいんじゃん。
…ってお前等授業は?
教師が率先してサボってどうすんだよ。
つか生徒をそんな目で見て良いのか。
そんな考え事をしていると、前で銀と黒が衝突した。
ドンッ
ズシャ!
俺と同じチームの、杉田(サッカー部エース)が仁王にぶつかっていった。
仁王は真横からそれを受けたため受け身が取れず、地面を滑るようにして転んだ。
「………ッ」
「わ、悪い仁王!うわっ!血ぃすげぇぞ!保健室!!」
『…俺が連れてくぜぃ。そうすりゃ人数丁度良いし』
「で、でも…俺がやっちまったし…」
『杉田いなくなったらウチのチームやべぇじゃん。ほら、行こうぜ仁王』
細かい砂利を含んでいる校庭に激しくスライディングした仁王の膝からは血が流れている。
狼狽える杉田にそう言って、仁王の腕を掴…もうとしたが、直前で止めて体操服の袖のあたりを引っ張って立たせた。
「?」
「…………」
あまりに不自然な俺の行動に、杉田は首を傾げた。
が、仁王はいつもの読めないポーカーフェイスのまま、俺を見据えた。
無言のまま保健室についた。
ドアを開けると保険医はいない。デスクの上には《先生は職員室にいます》のプレート。
俺は手当を始めるわけでもなく、ただ憮然と突っ立ったまま。
仁王はそれを当然のように見て、どかりと椅子に腰かけた。
『………なぁ、仁王』
「………何じゃ」
両者の声は暗い。
いつもの飄々とした仁王の声色じゃない。
やっぱりか。
お前も、俺と同じだな。
近くて遠くて
同じで違う
『…………お前、俺が嫌いだろ』
「…………あぁ、嫌いじゃ」
偽らないでよ、聞こえるからね
(お前の、助けを呼ぶ声が)
(俺と同じ、叫び声が)
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