『マネージャー?』
転校2日目にして開口一番に切原に持ち出された言葉。
「今度いろんな学校と合同合宿やんだけどさ、マネージャーいねぇんだよウチ!」
『…何故それを私に頼むんですか?』
俺は学校終わったら直帰して船の修繕についての細かい打ち合わせとか確認とかしなくちゃなんねぇんだよ。
何なんだよ部活って。マネージャーって。
あれか?前にシャチから気まぐれで貸してもらった(強奪した)青春ラブストーリーが頻発する集団のことか?
絶対やだぞ俺は。あれ読んだら3日くらい蕁麻疹が収まらなかったんだよ。
「え…えーと、蝋は学校ちょっとしかいないんだろ?なら部活を体験してみても…」
『すみませんが船の修繕の手伝いをしなければならないんです。休日はあいてません』
「そんなたいへんじゃねぇよ!ドリンク作ったりタオル運んだり…」
おい話聞けよ。あいてねぇっつってんだろが。
大変か否かじゃねぇんだっつの。
『だいたい、切原はその部活の代表ではないのでしょう?貴方の独断で決めてしまうのは「大丈夫だぜ!」
遮るなこの野郎。いい加減解体すっぞ。その空っぽの頭と胴体ぶった切るぞ。
「昨日部長たちに話したんだ!もう許可とってあるんだぜ!」
何その安心しろよ!みたいな笑顔。キャーとか可愛いーとかいう黄色い声が背後から聞こえるけどこんなのより俺のベポの方が可愛いぞ。いっぺん見てみろ。
つーか本人のいねぇところで決定してんじゃねぇよふざけんな人権侵害だ訴訟も辞さない。嘘だけど。
『…私の意見が全く含まれていない件については今は見逃しましょう。』
10000000000歩譲ってな!俺の堪忍袋は限界だ。帰ったら即ベポのお腹で昼寝しよう。ストレスで蕁麻疹が出そうだ。
『しかし部内で正式に決定した上に事後承諾だどいうのに責任者が来ないとは一体どういう了見なのですか?』
「え?」
『事後承諾ですよ?ただでさえ失礼千万でしょうに下っ端の貴方を寄越すとはどういうことですか?信じられませんねまともな神経をしているとは思えません。あらゆる意味で私の事情を考えてくださいお言葉ですが自己中心的すぎます。私には貴方方に協力する義務はありませんし権利があっても放棄いたします。別の方に譲ってあげてくださいそんなに上から目線できやがるということはさぞ希望者が多いのでしょう?こんなど素人の私よりもやる気に満ちた方を選びやがれください。まあ結論から言いますと、』
『断固として拒否します。』
いつもより1オクターブ低い声で滑らかに紡ぐ日本語。全て聞こえているはずなのに時折「意味分かんない」みたいな顔をするこのワカメは本当に日本人なのか馬鹿なのか。両方か。
俺は言葉の端々に本性が滲むことも構わずにまくしたてた。だってこいつ、ウゼェ。
ここで問題を起こすと流石に海軍に素性が割れると思い大人しくしてやっているがこいつとこいつの部活の野郎ども覚悟しておけよ船が直ったらバラバラにして適当にくっつけてやるからな。
右手が2本とか左足が右手にあるとか腰から頭が出てるとかオモシロ人間ビックリショーに出られる体にしてやるからな!絶対にだ!
ヒートアップする優秀な俺の脳を落ち着かせてポカーンとしている切原を放置して買いだめした医学書の一つを鞄から取り出して開く。
内容を叩きこみつつ別の部分の脳を働かせて思考する。
…マネージャーという単語が出てからギスギスした雰囲気になった教室内。
女子の大半は俺を親の仇みてぇな目で見て一般人特有の覚悟のねぇ殺気を向けてくる。
そして女子の少人数は俺を心配半分憐れみ半分の目で見てくる。
男子は俺からできるだけ距離を置こうとしているように見える。…俺は爆弾かっつーの。爆弾よりたちが悪い自覚はあるけどな。
次に件の「テニス部」とやら。
昨日1日で噂を聞く限り相当顔の整った野郎が揃っているらしい。
別にどーでもいいんだがな、俺にとっては。
殺気を向けてきたやつらは差し詰めそいつらのファンってとこだろう。残りは中途半端な偽善を振りかざす奴らだ。
男子に関しちゃ腰抜けもいいところだ。女子に恐れを抱きやがって…やっぱりうちの船員は優秀だよなぁ。比べんのももったいねーよ。
情報を集結させると…その「テニス部」とやらにこの学校は支配されているといっても過言じゃねぇってとこだろう。
はん、上等じゃねぇか。
この死の外科医を相手にどこまでやれるかお手並み拝見だ。
平凡な数か月…俺の暇つぶしくらいにはなってくれよ、「テニス部」共。
ようはあれだな。
『Do it,if you can do it.』
やれるもんならやってみろ。
青春ごっこはヨソでやれ。
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久々更新ですね。
なんか強気な文書いちゃったんですけどこれからどないしょーwww
まあアレですね、いじめフラグ。
次回は幸村様かなー
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