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「#幼馴染」のBL小説を読む
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  天色の空を仰ぎ見て


あれから雅治の懐きようと言ったら…目も当てられんほどや。

ボクどうしたらえぇの、ってくらい異常。異様。絶対なんかおかしい。


「まさはるくーん!あそぼーよ!」

「遊ばん。」


バッサリ。


「えー。じゃあ銀露ちゃんあそぼっ!」

『えぇy「ダメじゃ。銀露ちゃんは俺と遊ぶなり」………おーい?』

「銀露ちゃんいいって言ったじゃん!」

「言っとらん!」

「言った!」

『言うたで。』


勝手に人の意見変えるなや。
ちゅーか水掛け論化してるやないか。


「な…銀露ちゃん!」

「やったぁ!遊ぼー!」

『何して?』

「隠れんぼ!」

たまぁには子供らしくせぇへんと先生らに怪しまれてしまうやろ。

隠れんぼならテキトーな木の上にいとけば見つからんやろし。

「銀露ちゃ…俺と、遊びたくないん?」

『いや遊ぶて…特になんかして遊んだ記憶ないんやけど…』


雅治はボクとおっても特に何をやるわけでもなく、ただじぃーっとこっちを見てくる。

え?怖い?

…うん、ボクも怖い。

何が楽しゅうてボクなんか見つめとるん?

ただ見つめられとると…なんや背筋がゾ クゾクしてくる。


『はぁぁああ〜…』


イヅルの仕事してください攻撃よりも精神的に来る。
あーあ今のでめっちゃ幸せ逃げた。


「なしてため息ついとるん?悩み。」


お前や。

って口に出来るはずもなく…(基本お人好し)


『……何でおるん 』

「銀露ちゃんと一緒にいたかったんじゃ!」


いつもいるだろ。

って口に出来るはずもなく…(基本お人好し)

今?隠れんぼの最中。
木の上で太い枝に寝そべっとるんよ。

…そして何故か隣に雅治。

結局ボク、雅治に甘いんやろなぁ。



……そーかそーか、こうやって甘やかすからボクが育てたコは捻くれるんや!

乱菊しかり、イヅルしかりな!


「悩みなら俺に相談してくれんか?力になるぜよ!」

『いや…大丈夫やで』


でもなぁ、今更厳しくとか無理やわ。

ちょっと気味の悪い行動もわがままな言動も悪気があってのことじゃなし。

雅治が捻くれんことを祈って…





「誰か嫌いなヤツでもおるんか?俺が消してこよか?」

『射殺せ、神鎗!』

「?」






この子捻くれる以前の問題やぁぁああ!!

既に恐ろしい子ぉになっとるやんけ!

うっかり始解してまうとこやった!いやできんけど。

怖い怖い…これが噂に聞くヤンデレ かッ!


「あーっ!まさはるくんみっけ!」

「プリッ!?」

『あ、ボクはセーフやな。ほな行ってらっしゃい』

「うぅぅうう…いって、くるなり…」



やぁっと静かになった…

あれどないしよ…これからどう接してこ…



コツン、




あれ?

緑の葉が茂る枝に、何か白いものが引っかかっている。

何となく見たことがあるような、白陶磁器のようなそれ。



これは……まさか…



『………神、鎗…?』

[…置いて逝くなよ、主さん]


ボクが触れた瞬間、それは白く細長い蛇へと変貌した。

具象化した神鎗だ。


[一言呼びかけてくれりゃぁ来れたのによ]

『そうだったん?…気づかんかったわ』

[ま、そーだろうと思ったぜ。主さん抜けてっとこあるしよ]

『失礼やなァ。そこまででもあらへんよ』

[どーだか?]


そのまま話にのめり込んだ。

長年連れ添った相棒なのだ。積もる話は文字通り山のようにある。

久々の感動…とまではいかないものの再会を果たしたのだから無理もない。

だからこそ、この気配を見逃した。






ぞわり


『………ッ!?』

[久々じゃねぇの…]

『虚……』


真後ろに巨大な影があった。

おかしい。

転生してから自分は一切の霊圧が無くなっていたのに。


[俺が来たからさ、主さん。とっとと倒さねぇとガキ共が危ないぜ?]


それは面倒だな、と自嘲気味に笑って脇刺に戻った神鎗を構えた。





『………射殺せ、神鎗』


ズシャァァアアアア…





あっけなく虚は灰に帰した。

それと同時にぶわっと体から溢れる霊力。


『う、わぁ…!』


前世と比べても引けをとらないほどの霊圧が戻った。

慌てて制御するが、辺りの木に若々しく茂っていた葉の大半を散らせてしまった。


「あーっ!銀露ちゃんみっけー!」

『…………あら、見つかってしもた』


これじゃ、"向こう側"に見つかるのも…時間の問題か。

ぐっ、と握りしめた己が得物を真摯に見つめた。





青縹色のソラ
(君も見てる?)




「………銀露?」

とある異界で、女が呟いた。

 

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