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  若葉色に命は芽吹いて


自分の存在に疑問を持ち始めたのは5歳の頃。


毎晩のように夢に出てくる金髪の女性に銀髪の男の子。


黒髪にお団子頭の女の子や、ちょっと陰気な雰囲気の男性。


オレンジ色の髪をした男の子を中心とした高校生くらいの数人。




くるりくるりと場面は流れるように変わっていった。




煌めく白刃に舞い散る血潮。


白い仮面が砕け、劈く雄叫び。


はためく黒衣に白羽織。


大きく背に染め抜かれた三の文字。





これは、何の夢?

この人達は、誰?







その夢の終わりは決まっている


一人の男性。


茶色の髪をオールバックにした男性。






憎い、憎い、憎い、

嫌い、嫌い、嫌い、






コイツハ、ニクイ

コイツハ、キライ




殺さなきゃ、取り戻さなくちゃ、

…どうやって?





騙して、欺いて、嘯いて、

何が本意か分からなくなるほど夥しい偽りをバラまいて

貼り付けた笑みが本物と混同して融け合って

それでもまだ、惨めにも何かを護りたくて





けれど、最後には自分が殺される………ゆ、 め…?





夢?本当に?

これは、ただの夢?



自分を冷酷に見下ろし嘲笑うコイツも夢?

自分の身体に縋って泣きじゃくる女性も夢?

自分に美しい翡翠を向ける小さな少年も夢?




違う、何かが違う

この世界とは決定的に何かが違う





「銀露ちゃーん?どうしたのー?」

『なんでも、あらへん…よ。せんせ。』




エプロンを身につけた可愛らしい"先生"が自分を呼ぶ。

今、自分がいるのは施設。

生まれたときから両親はいない。

周りにいるのは同じくらいの子供達。

みな似たり寄ったりの境遇でここにいる。






…あれ?

自分はまだ5歳のはずなのに

何故こんなに考えられる?








…あれ、あれ、あれ?



ボクの名前は市丸銀露。



護廷…十三隊……三番隊、隊長……?



ボクは、死んだんやないの?



何で、子供になって生きている?







『うまれ…かわった……?』








あり得ない。

自分が死んだのは尸魂界。

そこでもう一度死んだ魂魄は霊子になって吸収されるはず。

輪廻転生なんて、ありえないはず…





『は……は、は、は…』



 

天を仰いで、口から笑いが漏れた。




ねえ、神様、ボクが嫌い?

みんなに嘘ついて生きてきたボクは、嫌い?

だから、こんなにも罪深いボクを、生きさせるん…?

あの子がいない。みんな、いない。

こんな世界で、たった独りで、

償うことのできない罪を背負わせて。





誰か、答えて
誰か、助けて







若葉色に命は芽吹いて

(どうか、この罪に)
(逃れられぬ天罰を)

 

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