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  欠片のも慈悲もない


強制的に入部届書かされました哀れなマネージャーFですー。

もちろんFはfrogの(ry


しかしまぁ…


『レギュラー全員で1人の女子を囲むってなんなんですー?』

「いや、逃げないようにね?」

『逃げても無駄でしょーが。ってか白髪さん墨落としちゃったんですかー』

「当たり前じゃ。よくもやってくれたのう…」

『眼鏡の人ー、墨落ちましたー?』

「…ええ、まぁ。」


私物である可愛いカエルのヘッドがついたシャーペンで入部届を書く。

気だるげな表情を崩すことなく鬼ごっこの時の謝罪やら罵倒やらをしていく。


『コーヒー豆の人は怪我してませんかー?』

「おう。でもお前すげぇ力だな。」

『柔道に力は関係ないんでー』

「俺の心配は!?」

『そんなに柔だったらドン引きですけどー』


カリカリカリ、と学年、クラス、名前を書き込む。
と、

「霧咲フラン…ってはあ!?おまっ!偽名使うなよ!」

『使ってませんけどー?』

「お前が霧咲!?あの地味ーな霧咲!?」

『地味で根暗でぼっちな霧咲フランですけどなんか文句でもー?』 


ワカメがめっちゃぽかんとした表情になった。うわ、間抜け。


『いつもの締りない顔がもっと間抜けになってますよー』

「んだとぉ!?お前いつもそんなこと思ってたのかよ!」

『うぜぇコイツとは思ってましたけど』

「うがぁぁああああ!!!」


暴れだすワカメを総無視して書き終わった入部届けを幸村さんに出した。

まあ引き受けてしまったものは仕方がない。

ここはちゃんと仕事はしなければならないだろう。

個人的なプライドであり、元は立派な一流暗殺者だったミーとしてはどんな仕事でもきっちりこなさなければ気が済まない。

…が、


『で、仕事の内容と…ミーをここまでして入部させた理由を教えていただきましょうかー?』

「え?だから君に興味があると…」

『それがないとは言いませんけど、本当の理由ではないでしょう?そんな理由だったらミーはどんな手を使ってでも逃げますよー?』


なんで呼んだの?…暇つぶし。と答えられたとき級にむかつくだろう。

先ほど言った通りミーにはプライドがある。

一般人を見下す気はありませんけど、見下される気もありません。


「…本当に、君は洞察力が高いね」

『お褒めに与り光栄ですー』


思ってませんけど。ということは口にしないし顔にも出さない。

冷めた目で周囲を見回せば、レギュラー陣は気まずそうに視線をそらした。


「うちのレギュラー陣を見て、君はどう思った?」

『自信過剰で自分勝手な野郎共だと思いましたけどー?』

「表情と言葉の落差が激しいよ」

『ギャップ萌えですー』

「萌える前に鬱にならなければいいね」


二人の間には見えない吹雪が渦巻いていた。

レギュラーは戦々恐々と二人を見ている。いや、本音を言うと見ていたくない。


「…俺達が、女子からどれだけ人気か知ってる?」

『詳しくは興味ないんで知りませんけど、やたら人気でですよねー。怪しい宗教団体並みに』

「あはは、全くその通りだね。だから君に頼んだんだよ」

『話繋がらないんですけど』

幸村さん以外のレギュラーが完全空気がしている。
つーかこの人話できない。チェンジで。

という意味を込めてレンジさんを見ると、それを察したのかノートを片手に一歩前に出た。

…ノートの意味が分からん。そして前に出るな距離が縮まると見上げんのツラい。


「…マネージャーは俺達に一番近い位置にいることができる。もちろん希望者は連日のようにいる」

『へー。で?』

「だが俺達目当てで仕事をしない者が入部しても足を引っ張られるだけだ。王者立海の名を汚されては困る」


王者。

常勝無敗の頂点。

その言葉は、かつて並びあった彼らを彷彿とさせる。

誇り高きヴァリアーの隊風とよく似ている。


『ミーがそれを汚さないと言う保証はありませんけど?』

「そこは勘かな。俺の独断ではなく複数から意見を聞いた結果だよ」

「そして何よりマネージャーはファンクラブの風当たりが強い。そこで、身を隠すことが得意なお前が適任だと思った」


意外としっかりとした理由がある。

うーん…ここまでくると流石に抵抗は無理か。

ミーはポーカーフェイスを崩すことなく淡々と続けた。


『理由は理解しました。じゃ、仕事の説明お願いします。てゆーか他の人いる意味ないんでさっさと練習でもしててくださーい邪魔ですー』

「冷たいのう。」

『説明はどなたがー?』

「流石に挫けてきたぜよ…っ」


さっさと挫ければいいのにー。あの白髪はマジウザイ。
マジウザイ白髪、略してMUS。

で、ミーの言葉ではっと気づいたのか電子レンジさんと幸村さんだけが残った。


「レギュラーの名前だけでも教えておこう。赤毛は丸井ブン太、白髪が仁王雅治、ブラジル人とハーフのジャッカル桑原に眼鏡が柳生比呂士、黒帽子が副部長の真田弦一郎だ。」

『了解です。』

「蓮二、自分を入れてないよ。フラン、こっちは参謀の柳蓮二だからね」

『ちょっと待て。』

「ん?」

『姿隠さなきゃならないのに名前呼びとかおかしいでしょー』

「え?別にいいでしょ、俺か呼びたいんだから。」


こいつマジ死ねばいいのに。
できるだけマヌケに死ねばいいのに。


「他の者には別の呼び方をするように言っておく…」

『…あ、もう約一名については諦めるんですねー?』

「…あぁ。」


柳さんが意外といい人だった。






(神の子とか嘘だろ)

………………………………
後々書きますが、フランがレギュラーをさん付けなのには意味が。…あったりなかったり…ごにょごにょ。
こうして立海大附属中男子テニス部に、1人のマネージャーが誕生した。


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