必ず、お前を(仁王side)
「ま、待ちんしゃい!」
『…あ゙?』
「女じゃろ、その視線はヤバいなり」
『ほっとけよ。…ヤベ、キャラが』
「…キャラ作ってたんか」
俺はそいつを呼び止めた。
先ほどの刺々しい雰囲気はそのままに、殺気だけは引っ込めてある。
驚いた、女子にこんなあからさまな敵意を向けられたことはない。
初対面では、特に。
適当に付き合って適当にふって、それで散々罵倒された覚えはある。
…が
『離してくれませんかねー叫びますよー?』
「やってみんしゃ『キャー助けてェェェエ!!!』ちょっ!?」
突然そいつは大声を上げた。
しかも地声ではない。甲高い、正しくミーハーの奴らのような声色だ。
俺は驚いてそいつの手を離してしまった。とたん、ドアに向かって俺でも追いつけんくらいのスピードで走り、そのまま去っていった。
「あ…ここ旧校舎じゃった…か」
やられた。
近くに人がいないことくらい、ちょっと考えれば分かること。
ただの脅しだと思っていたのに本当に声を上げられ、しかも声色は違う。
たくさんのことに驚きすぎて頭が動かなかった。
…あいつはそれも見越していたか…?
「くくくっ…」
面白い
「手に入れちゃる」
何て、甘美な玩具だろう?
「絶対に…」
この手で、お前を捕まえる…!
「さぁて、まずは正体を掴まんとな…」
詐欺師は彼女に目をつけた。
だがしかし、
彼女は簡単には捕まらない
(あーあーメンドくさい人だったー)
(ま、あの程度なんて事ないですけど)
………………
たかが一般人の仁王が彼女を捕まえられるワケ無いのです!
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