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  天候たちは力をつける


並盛中学校合同テニス部。

少人数ながら校内で知らぬ者はいない部活動だ。


並中始まって以来の秀才にして不良、獄寺隼人。

抜群の運動神経と人気を誇る野球部エース、山本武。

並盛の秩序のためなら過激な活動も辞さない支配者、雲雀恭弥。

圧倒的支持を受ける生徒会長にして雲雀の好敵手、六道骸。

自称極限ライオンパンチニスト・ボクシング部主将、笹川了平。

そして、容姿端麗と頭脳明晰、才色兼備を体現した噂の転校生、柳蓮二。


どれも癖が強く我が強く、彼らが一つの集団にまとまるなど誰が予想しただろうか。


彼らを纏め上げた絶対的カリスマ性。

柳蓮二と時同じくして並中に現れた一人の少女。




誰にも従わず校則は無視し授業はさぼるが成績だけはいい問題児だった獄寺が従順な態度をとり、

野球一筋の山本やボクシング馬鹿とまで言われた笹川にまさかの"兼部"をさせて

集団を何より嫌い、そしてそれ以上に六道を嫌悪する雲雀を下につかせ

上に同じく雲雀の顔を見れば武器が交わるほどだった骸も入部。



そんな偉業ともいえることを成し遂げた………幸村市華。



彼らはまるで10年来の親友や仲間だと言わんばかりに和気藹々と部活動に勤しんでいた。



「…獄寺、ライジングは腕をあと12°ほど下げて打つといいぞ」

「…おう。」

「柳さん!俺の方はどうッスか?」

「山本の両手打ちはかなりパワーが籠っていていい。だが32%ほどがホームランになるのはいただけないな」

「ははっ!すんません気をつけます!」

『雲雀さん!骸!コートの中で喧嘩しないで!ラケットは武器じゃないから!』

「市華、こいつが悪いんだよ僕のことアヒルとか呼んでくるから」

「何を言いますか!市華、アヒルの方から僕をパイナップルと呼び出したんですからね!」

『骸がパイナップルなのは事実なんだからいい加減認めてよ。雲雀さん、ムカついても手を出しちゃダメですからね』

「市華!?事実ってどういうことですか!?」

「事実ってことでしょ。市華がいうなら仕方ないね」

「きょっくげ―――ん!スマッシュ!」

『了平さんそれはサーブです。何でもかんでもスマッシュにしないでくださいね』

「極限に了解した!」

『それとできればもっと柔らかい技…ドロップとかも覚えてくれませんか?』

「極限に攻めることが俺の信条だーっ!」

『分かりました諦めますすみませんでした』

「オイイチ、サボってんじゃねーぞ部長が」

『サボってない!サボってないよリボーン!部員の指導がサボりなの!?』

「部員の指導は俺の仕事だ」

『いなかったくせに!いなかったくせに!』

「うるせぇちょっとゴミ始末だ」

『拳銃向けないでーっ!っていうか始末って何!』


「みなさーん!ドリンクできましたよー!」

「タオルは私の方へ来てください!」

「怪我、した人…こっちに…」


今日も賑やかなテニスコート。
真新しい最新設備に囲まれて鍛錬する彼ら。

ごくたまに発砲音やコートが抉れる音、ラケットからありえない金属音が聞こえることはあるが至って青春真っ盛りな部活動風景だ。


柳蓮二と幸村市華が転校してきて早1年。
テニス部が発足してから約1年。



「…いよいよ明日からか」

『まずは地区大会。その次は都大会、関東大会…そして全国』

「俺たちの出番は関東大会からだな」

『獄寺君たちの実力はどうですか?私から見ればかなり強くなったと思うんですが…』

「十分どころか十二分だ。これなら計画通りにいける」

『…日に日に先輩が腹黒くなっている気がするんですが』

「計画のことか?敵に対してもっともダメージを与えられるように計画するのが俺の役割だろう?」

『それは…そうですね。はあ…』


市華は重いため息をついた。

気が乗らないわけではない。実兄たちへの報復…というか逆襲。
自分だってそこそこ傷つけられたわけだし、怒りも当然あるにはある。

しかしそこまでだ。

ボンゴレという裏社会の頂点を動員するような…そして大切な仲間たちを巻き込むような大事にしたかったわけじゃない。


「市華、忘れるな。」


心地よいバリトンボイスが降ってくる。


「俺たちはお前を何より大切に、誇りに想っている」


2つの鋭い漆黒が橙と交わり溶けていく。


「俺たちは誇りを傷つけた者たちに相応の報いを与えに行くだけだ。お前の私情ではない。」



…誇り。


市華は自身の右手を見る。
中指に収まる豪奢な指輪。大空のボンゴレリングVer.]。

自分の誇りは仲間たちと、それを守る力。

きっと、仲間たちが自分と同じ目に遭ったら…怒り狂うだろう。
それと同じこと。

彼らと自分は一方通行ではない、想い想われる関係なのだから。



ズガァアン!!!



「休憩は終わりだぞ。これからデスマッ…トーナメントを行う」

『休憩終了の合図を拳銃にするなって何度言えば…っていうか今デスマッチって言いかけた?そのトーナメント負けるとどうなるの!?』

轟音の元に目を向ければ案の定リボーンだった。
市華の的確なツッコミに対して答えるようにニヤァ…と口元を歪める。

『嫌な予感しかしない!』




泣いても笑ってもチャンスは一度。

明日の大会がその第一歩。




さあ、我らの大空を穢した愚か者へ

懇親の報いを与えに行こう。


……………………………

次回から大会編ですね。
でも時間がかかるので地区大会はさらっと済ませます。

青学が準優勝だったりするのですが細かく描写しません。

書くとしても都大会くらいから…氷帝視点とか書くかもしれません。

 

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