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  天候たちは始動する


翌日。


並盛中学の校庭横にある年季が入ってボロボロだったテニスコートがぴっかぴかの最新設備付きのものになっており、近くには大きくはないがしっかりとした造りの小屋があった。



……なにごと?



『え、これ何?』

「テニスコートと部室だな」

『そんなこと分かりますって!私が聞きたいのはなんでたった一晩のうちにそれが完成してるんですかってことですよ!』

「ヴァリアークオリティだそうだ」

『こんなことに最強の暗殺部隊使ったのーっ!?』


怒るよ!?普通怒るよあいつら!
暗殺の依頼ならともかく建築とリフォームの依頼とか専門外にもほどがあるよ!
つーか専門外なのに出来よすぎ!お前ら転職してしまえ!

一息で言い切った市華はやはり息切れしており、ぜーっぜーっと上下する背中を柳がさすっている。


『ザン、ザス…も、怒りまくってるでしょ…はぁ、』

「施しだ、ドカス」

『ひょわっ!?ザンザス!?』

「いや、リボーンの物真似だ。市華は相変わらずリアクションが大袈裟だな」

『これが普通ですよ…ってリボーン!いきなり割り込んできてザンザスの物真似とかやめて!心臓が口から飛び出るよ!』

「押し戻してやるから安心しやがれ」

『グロい!』


ぎゃーぎゃーと騒ぐ市華に引き寄せられるように守護者たちがわらわらと集まってきた。
がらりと変わったテニスコートを物珍しげに見ている。


「すっげー!1日でこんなに変わっちまうのかよ!」

「幻術でもなさそうですね…流石はヴァリアーです」

「ケッ…おい雲雀、テメェの学校好き勝手に変えられていいのかよ」

「市華のためだし、学校の予算ではないからね。別にいいよ」

「極限に燃えてきたぞ!!」


どうやらヴァリアーが全ての資金を出したらしい。
聞こえていないだろうが市華の耳に入ったらまた頭を抱えそうだ。


「てめーら重要なことを忘れてるぞ」

『え?コートも部室も道具も部員も部費も役職も問題ないと思うけど…?あ、ラケットとか?』

「各自のラケットやシューズは今日の練習を見て俺が見繕うつもりだ」

「それ以外だ。…ユニフォームが決まってねぇ」




…ユニフォーム?




『別にそんなの後でもいいじゃん…』

「馬鹿いえアホイチ」

ガスッ!とフルオーダーのダークスーツに包まれた長い足が跳ね上がって市華の後頭部を捉える。

『痛っ!?蹴るなってば!』

「ユニフォームは言わば正装だ。ボンゴレは抗争時には必ず正装に身を包むんだ。忘れたのか?」

『抗争じゃないから!』

「でもさ、イチ。ユニフォームあると何か気合い入るぜ?」

『山本…。そうかな?』

「おう!俺、初めてユニフォーム貰ったときめちゃくちゃ嬉しかったぜ!」

『そっかぁ…』

実体験となると信憑性が増すのはどの話も同じこと。
やっぱり丸め込まれた感があるが、まあリボーンのことだから、と結論づけてユニフォーム決めに入る。


「ユニフォームはスパナ、正一、ジャンニーニのトリプルメカニックが担当するぞ」

『また無駄な技術を…』

「大砲が直撃してもびくともしねぇヤツを頼むと言っておいた」

『本気で戦争でもする気なの!?』


1人でも十分な技術を持っている最高峰の技術屋を集めて制作するのが中学生の部活用ユニフォームだとは些か大げさな気がする。

が、ここでもやっぱり『リボーンがめちゃくちゃで大げさなのはいつものことだった』で片づけてしまった。

『色とか形とかを決めるってことだよね?』

「では各自で意見を出し合おう。」




「やっぱボンゴレファミリーの正装って言ったらスーツっすよ!スーツ!」

『テニスできないでしょ』

「汚れてもよくて洗いやすいのがいいのな!」

『テニスはね、野球と違ってスライディングとかしないからそんなに汚れないんだよ』

「極限に動きやすければいい!」

『言うと思いました』

「学ラ『却下です』

「クフ『却下』まだ何も言ってませんよ!?」

『お前のセンスが絶望的だってことは知ってるから。主にその頭で』

「それは髪型ですか!?それとも頭の中身ですか!?」

『蓮二先輩はどう思います?』

「清々しいくらいに無視ですね!」


なんだか煩いパイナップルがいるけどスルー。あんまり騒がしかったら箱詰めして出荷しよう。ヴァリアーに。


「…まあ、市華をモデルにしたようなデザインがよさそうだな」

『私をモデルにする?どういうことですか?』

「カラーリングはオレンジと空色がいいだろうな。市華の色だ」

『そ、そうですかね…?』

「形は無難にポロシャツタイプでいいだろう。スカイブルーを地にオレンジのラインを入れたものでどうだ?下手にボンゴレのエンブレムなどを入れるのは止した方がいいだろう?」

『あー…じゃあ、それでいいですよ』


私そういうのよく分からないしセンスもないので…と困ったように言う市華に、蓮二は微笑みかけた。


「俺の視界でいちゃつくんじゃねぇ鬱陶しい」

再びのゴスっ。

『いったぁ!?だから蹴るなってば!!これ今日二回目だし!』

「大丈夫か?」

『慣れているので大丈夫ですけど…』

蹴られたと思われる部分を柳が大きな手で撫でてやると、市華は自然と頬を緩めた。
リボーンから"また蹴り飛ばしてやろうか"という視線をもらったのですぐに離れたが。


結局ユニフォームは空色を基調とし、胸元と袖にオレンジのラインを入れたポロシャツに決定した。
各々オリジナルの着方や改造を施すものの、基本的な正装は崩さぬようにリボーンから厳重な注意を受けた。



全ての用意は揃った。
並盛中学合同テニス部が、始動する。











同日、校長宛書類より抜粋



部活名:並盛中学合同テニス部

部長:1−A 幸村市華

副部長:2−A 柳蓮二

会計:1−A 獄寺隼人

部員数:10人

部員:1−A 山本武(兼部)
   2−A 笹川了平(兼部)
   ?−? 雲雀恭弥
   2−C 六道骸
   1−A 笹川京子(マネージャー)
   1−B 三浦ハル(マネージャー)
   1−B クローム髑髏(マネージャー)

顧問:リボ山(非常勤講師)





…………………………

獄寺は手縫いでユニフォームにベルトをつけるそうです。

リボ山先生は何の教科の非常勤なんですかねぇ?

それにしてもどんどん文章力が下がっていっている気がします。

 

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