×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



  大空と天空


虹の代理戦争後、復讐者がいなくなってしまった裏社会の秩序を守るため、一般人へ無作為な危害を加えることや死ぬ気の炎の使用制限などの取り締まりをヴァリアーが受け継ぐことになったり、門外顧問としてバジルが就任し家光と奈々がセカンドハネムーンという名の長期海外旅行へ行ってしまったりと目が回るような出来事が立て続けに起こった。

慣れない裏社会のシステムと膨大な歴史に付属するファミリー間の関係。四苦八苦しながら十代目ファミリーたちは歩みを進めていた。
ボスの座を継承したといってもまだ市華は未成年であり学生だ。今は継承期間を設けて書類仕事に慣れること、そして確かなパイプ作りに励もうという結論に落ち着いた。

日本にいるままにコンタクトが取れる組織は多くはない。
数少ない近隣諸国を拠点とする裏社会の組織の一つが、大阪にあった。



時は遡り、合宿がまだ計画段階であった頃のこと。
並中へボンゴレの専用ジェット機と防弾使用のマイクロバスで要人のように送迎されてきた集団があった。

バスから降りてきた若く見えるが洗練された"裏"の空気をまとう美青年が市華に向かって笑いかけた。

「市華ちゃんお久しゅう。ご無沙汰しとって申し訳ないわー」
『いえいえお気になさらず蔵ノ介さん。参加ありがとうございます』
「水臭いこと言わんといてや。俺と市華ちゃんの仲やろ」

任侠一家・白石組。
裏社会に身を置くものの、恐喝や麻薬などを扱う暴力団と括られることを嫌い、江戸以降日本全国の無法者集団の目に余る行為を抑制および粛清する役割を担ってきたジャパニーズ・マフィアだ。


その若頭が白石蔵ノ介であり、右腕の小石川を始めとするテニス部レギュラーたちはみな白石組の次期幹部として名を連ねている。

「まさか幸村家がボンゴレの血筋やったなんて思いもせんかったわ。まあお互い古い付き合いみたいやし、組を担うもんとして仲ようしてこうや」

言葉のとおり、白石組とボンゴレファミリーは古くから親交を持っていた。初代が日本に隠居したころからの付き合いらしく、白石組の旗揚げにもかかわっていたらしい。


「今回立海さんがやりよったことはいくら表と裏で住む世界が違うとはいえ放っておくには危なっかしい火種や。ここらでちょいと痛い目見てもらわんとあかんっちゅー考えは最もやと思う」

老若男女が見惚れる笑顔を浮かべながら、白石蔵ノ介はいう。
身の程知らずの不届き者たちに裏社会のルールを骨の髄まで味わわせるために開戦の狼煙を上げる。


「もちろん、うちも若いもん総出で手伝わしてもらいますわ」


『蔵ノ介さんの"痛い目"はちょっと怖いですけどね…』

あっはっはっは!と快活に笑い飛ばす白石。しかし遠山以外の四天宝寺面々は乾いた笑みだった。
白石組は仁義を大切にしている。裏を返せば仁義を通さない輩に容赦はしないということだ。

『(ヤのつく自由業さんとマフィアは似てるようで似てないからなぁ…)』

自分の仲間たちとはまた違った意味で、次代白石組は曲者揃いであることを市華はすでに察していた。




並盛のバスが合宿所に到着したころ、大阪駅では若い男の怒号が響いていた。

「新幹線がまだ来ないてどないなっとんねん!」
「落着きぃやユウジ。怒鳴っても焦っても新幹線は来ぉへん」

駅員に向かって胸ぐらを掴み上げん勢いで怒鳴っていた一氏ユウジは白石の言葉一つで押し黙った。
電光掲示板に目をやり、すぐさま仲間に指示を出す。

「小春、早いとこ市華ちゃんに連絡、」
「もう謙也くんに任せてあるでぇ」
「さすがうちのブレインやな。ほな作戦の再確認でもしてようや。」

いつも自分の一歩先を読む優秀な頭脳に感心しつつ、隠語を交えた臨時の作戦会議を駅構内で始めた。このあたりに白石組のフリーダムさが垣間見える。

「目には目を。歯には歯を。ルール違反にはルール違反を、ってな」
「そのルールが裏か表かは別問題っすけどね」

財前の容赦ないツッコミが入った。

新幹線は、まだこない。



…………………………………
白石組
関西広域をシマとするヤのつく自由業。
仁義を通さない輩にはとっても怖いことをするお仕事。
表向きは製薬会社や医療関係の企業。麻薬・密輸に睨みを利かせている。

白石蔵ノ介
白石組若がしら。綺麗な顔してえげつない。
仲間はみんな大好きで大切。

小石川
影で若がしらを支える右腕。拳銃の腕がいい。

忍足謙也
特攻隊長。拳銃の腕はよくないので機関銃やら散弾銃やらで数撃ちゃ当たる戦法。

財前光
特攻副隊長。真面目にやれば何でもできるのに面倒くさいので数撃ちゃ当たる戦法。

一氏ユウジ
潜入捜査担当。小春の情報を確かなものにするためならどんな手でも使う。

金色小春
情報収集担当。関西の裏事情に知らないことはなし。

遠山金太郎
鉄砲玉というかもはや大砲。拳銃は得意ではないので素手で蹴って殴って放り投げる。

千歳千里
転校したらいつの間にか裏社会にいた。笑顔で手榴弾ぶん投げるタイプ。

石田銀
若がしらの側近、簡単に言えばボディガードのような位置にいる。実家は裏稼業とかかわりない一般家庭。

貼り付けミスで師範が抜けていました…!ご指摘ありがとうございます!
あとオサムちゃんは門外顧問的な位置にいます。顧問だけに。

 

[back]