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「#幼馴染」のBL小説を読む
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  金色ナイフの王子様


ザンザスにべったりな初姫は、滞在二日目から訪ねてくるようになったスペルビ・スクアーロにも大変よく懐いていた。

大木の下で絵本を読む初姫とザンザスにスクアーロが割り込み、それにキレたザンザスが発砲して乱闘スタート。
剣と拳銃が交差する喧嘩というより殺し合いな2人のやりとりを、すごいすごいと笑いながら手をたたいている初姫はどれだけ大物なのか。


『おにいちゃん、スクにい、私ほかのとこ見てみたい!』

「「他のところ?」」


蹴り倒したスクアーロの眉間に銃口を突きつけているザンザスと、突きつけられているスクアーロの声が重なった。
スクアーロは内心助かった!と諸手をあげたい気分だった。

それにしても、他のところとはどこだろう?
まさか入ってはいけないと言われている部屋(武器庫とヤバい書類がある部屋)ではないだろう。


『おとうさんがね、イタリアはキレイな町なんだよって言ってたから、見てみたい!』

「つまり、町に行きたいって事かぁ?」

『うんっ!』

期待と憧れをふんだんに含んだ瞳を向けられては無碍にできない。
彼らはまだそこまで冷徹ではなかったし、そんな冷徹さを吹き飛ばしてしまうような光が彼女にはあった。


と、言うことで3人仲良く手を繋いでお散歩スタート。










「あっちはピッツァが美味い店だぁ。パスタなら向こうだな。花屋なんかもあるぞぉ」

「この路地裏にはゴロツキのカス共がいるから1人で入るんじゃねえ。もっと奥に行くと武器商人がいるから後で護身用の銃を買ってやる」

「この店ならカルパッチョだなぁ。ビスコッティやズコットはあの店だ。甘いもんは好きか?」

「あっちの店は酒屋に見せかけているが実際は麻薬取引用のもんだ。近くボンゴレが粛清に向かう手筈になってる。」

「向こうに海も見えるだろぉ?イタリアの海はどこも綺麗だから後で見に行こうなぁ!」

「あの港に見える黒い船はだいたい密輸に関係してるから近寄るな。ボンゴレのシマを荒そうとしてるカスもいるからな」

「……………」
「……………」


『おにいちゃんもスクにいもいろんなこと知ってるね!』



天使のように純粋な笑みを見せる初姫

その輝く瞳が店に飾ってある品に向けられた瞬間、取っ組み合いが始まった。


「ザンザスぅううう!!!テメッ子供になんてこと吹き込んでやがる!!!」

「テメェこそ役に立たねえことばっかり言うんじゃねぇカス。初姫にはある程度こういう知識があったが身のためだ」

「まだ何にも知らねえんだぞ!?汚い世界を知るのにも早すぎんだろぉが!!」

闇を知らない無垢な子供でいて欲しいスクアーロと、
傷つかないように早く世界を知るべきだというザンザス

ようは2人とも過保護なのだ。

ベクトルは違えど、両方初姫を思ってのこと。


『おにいちゃーん!スクにぃー!あのお店見てみたい!』

「店ごと買う。」

「やめろぉおおおお!!」


可愛いアンティークが売られている店を
一通り見回り、3人はまた街を進んでいく。


「………ぅ…」


『ん?』 


何だか声が聞こえた気がする。
賑やかな街から外れた薄暗い路地裏からだ。

その声が助けを呼んでいるような気がして、初姫は走った。


「初姫、そろそろ昼飯…あ゙?」
「何だカスザ………おい、初姫はどうした」
「い…いねぇ、ぞ?」


2人の顔が青くなった。










たぶんこっち…で、次こっち。あそこを曲がる、と初姫は超直感を駆使して声が聞こえた方向を突きとめる。

血の匂いがした。

「このクソガキ…よくもボスを!」
「もっといたぶってやれ!」

黒服の男が数人。皆ガラが悪く、体ばかりが大きいように見える。

男達の足の隙間から、金色が見えた。



『何やってるの?』



男達は始め、路地裏に迷い込んだ少女だと思った。
それは当たらずとも遠からずだが、読み間違えがあった。


『ねえ、』


その少女が支配者だということ。
その少女が幼き獅子であること。
その少女が、


『何、やってるの…?』



この町と人を深く愛しているということ。



「ひぃ…っ!!」

男達はその幼子から放たれる殺気と怒気に気圧された。
琥珀色は夕陽のような橙に染まる。
金色の髪がまるでライオンのたてがみのように逆立ち、輝いている。



王だ。

目の前にいるのは百獣よりも多くの人を、町を、生き物を、世界を統べる王

君臨する。

浅蜊の王は静かに、ただそこにいた。




ポゥ…

両の瞳から生まれたような橙が空から現れた。
少女を包み込むように燃え上がるそれは、男達へと向かってゆく。


「う、うわぁあぁあああ!!!」


恐怖に全身を支配された男達は無様に地面を転がるようにして路地の奥へと消えていった。

後に残ったのはぼろ切れのようにされた子供と、少女だけ。

沢田初姫が、生まれて初めて死ぬ気の炎と呼ばれるものを灯した瞬間だった。











「ゔぉおい!!いたかぁザンザスぅ!!」
「んな無駄な声上げてる暇があったらもっとちゃんと探せカス鮫が!!」
「してんだろうがぁ!!未だかつてねぇほど真剣だぁ俺は!!」

一方は銃を両手に携えた赤目の青年。
一方は剣を構えて怒鳴る銀髪の青年。

イタリアの町には例えようもない恐怖が漂っていた。

『おにーぃちゃーん!』
「「初姫!!!」」

行ってはいけないと言われたのとは別の路地裏からひょっこり顔を出した初姫。
ほっと息をつく二人だっが、

「…初姫、その背中のはなんだ」
『この子怪我してるの!おじいちゃんちでてあてできる?』


…正直に言うと、厳しいだろう。

天下のボンゴレファミリーの本部なのだ。部外者を易々と入れることはできない。
じゃあスクアーロはどうなんだと言われれば、ザンザスと顔見知りであることと不快だが初姫のお気に入りであることを理由にザンザスが九代目に許可を取っていた。
(※ザンザスの偏見が混じってます)

だが、初姫の背中でぐったりとしている金髪の子供は素性もしれないし、初姫もおそらく深い関わりはないのだろう。



『だめ…なの…?』



ダメじゃない。


2人の声がまた揃った。






金色ナイフの王子様
(あんまりお買い物できなかったなぁ…)



…………………………………
ザンザスがwwただのwwシスコンww
スクアーロとかだれおまww

だが反省も後悔もしていない(`・ω・´)キリッ

お分かりでしょうが王子登場です。

 

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