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  ヒソカに殺されるために生きてるヒソカ弟子


ヒロインの名前はデフォルトでリリス。








自分は、彼に殺されるために生きている。




サーカスに売られた私はピエロさんに出会った。

サーカスにいるピエロではなくて、涙と星のマークを頬につけた人。



私は、その人がサーカスの皆を殺すのを、ただ見ていた。



仕方ない。

私が思ったことはそれだけ。



あのピエロさんの琴線に触れてしまったんだから仕方ない。

どんな理由だったかは明確にはわからないけど、たぶんくだらない理由なんだろう。

私の人を見る目はそこそこ長けていて、ピエロさんは大した理由もなく人を殺す人だとわかったから。



だから私も殺されるんだと思った。


仕方ないよ、だってピエロさんは私より強くて、私はピエロさんより弱いんだもの。

そう思っていたのだけれど、それは違った。

ピエロさんが投擲したトランプが私の頬を掠ったときに、それは起こった。

ぶわりと体中から溢れ出した湯気のような物体。

これは何だろう、と思っていると、だんだん寒くなってきた。

寒いのは嫌いだった。だから何とかしたかった。

思えばおかしな思考である。
だって、この時の私は数分後に殺される覚悟をしていたはずなのに。

とりあえずこの湯気みたいなのが寒さの原因らしいと考え、止めなくちゃと思った。



止めなくちゃ、止めなくちゃ、止めなくちゃ!
上に逃げていくのを止めて、体の周りに…



ぴたり、と湯気達は私の体にまとわりつくように止まった。
寒さも収まって、今はちょっと暖かい。



「ふぅん…◇」



ねっとりとした声だった。
それは、まるで爆心地のように血が広がった床の真ん中に立つピエロさんのものだった。

皆を殺している時よりも面白そうに目を細めて私を見ていた。

何だろう、さっきまでの突き刺すような殺気がない。


「キミは美味しくなりそうだね◆」


何のことだろう。
カニバリズムの気でもあるんだろうか。
サーカスの下働きだった私には余分な肉などなくて、重い荷物を運ぶためだけの筋肉と骨と皮しかない。
ぜんぜん美味しくなさそうだけど…


「ボクがキミを拾ってあげよう★キミが殺しがいのある戦士になるまでね★」


そして私は師匠に拾われた。




・・・・・
・・・・
・・・
・・
 


光と清潔感であふれる室内。
1人が寝るには広いキングサイズのベッドに横たわる赤髪の青年を必死に揺さぶる細身のシルエット。


『師匠!しーしょーおー!』
「ん…何だいリリス…」
『起きてください!今日はハンター試験の日ですよーっ!』

ダークピンクの髪にアメジストの瞳を持つ、少女と言ってもよい彼女。
可愛らしいひよこのエプロンを身につけている。

『そろそろ朝食を済ませてください!冷めてしまいます』
 
師匠は寝起きが悪いのに朝食が冷めていると不機嫌になる。
自分でこの時間に起こせと命令するのにその時間で起こすと殺気を向けられる。しかも起こさなくても向けられる。

理不尽の権化です…とリリスは思うのだが、言えるわけがない。

しかし、しっかりと目覚めれば(そこそこ)紳士的で(戦闘狂を除けば)とても優れた戦士で(ピエロルックでなければ)容姿もいい。

悪い師匠ではないのだ。…たぶん。


そんな師匠が青い果実探しとついでに資格をとろうと申し込んだハンター試験。

去年は堪え性のなさが爆発して失格になってしまったのだが、それを防ぐために今年はストッパーとしてリリスを連れて行くと言いだした。


だから必死に修行したのに…(特別厳しくしたのではない。モチベーションの問題だ)


『師匠師匠師匠師匠師匠師匠師匠師匠師匠ー!』
「うるさいなぁ…」
『あーもう!起きないとほっぺにちゅーしますよ!』
「じゃあ寝てようかな★」
『貴方起きましたよね!?もう完全に起きてますよね!?』

ちなみに起きないと〜のくだりは師匠からの受け売りなのだが、師匠には効かないようだった。
さらに余計だがその時は寸でで阻止した。

「してくれてもいいのに☆」
『イヤですよ』

キッパリ言ってのけたリリスに、ヒソカは自覚もなくちょっぴりしょげた。


『いい加減に1人で起きられるようになってくださいね!ご飯だってぜんぜん作れないままですし…』

「いいじゃないか◇リリスが起こしてくれるしリリスが作ってくれるんだから★」

『ですけど…』


私はそのうちいなくなるんですよ?


その言葉をリリスは飲み込んだ。






近い将来、私はいなくなるんですよ

だから、師匠は私がいなくても健康的で文化的で規則正しく生活できるようになってもらえないと心配ですよ。

近い将来、私は、






師匠、貴方に殺されるんですからね。








………………………………
リリスちゃんは8つ位の時に拾われて、ハンター試験時は16,7歳位ですかね。

ちなみにヒソカはリリスちゃんがくるまでは起きたいときに起きて寝たいときに寝ておなかが空けば全て外食でした。

ヒソカはリリスちゃんにそんなこと言ったなんて覚えてません。過去に興味ないので。

で、今や立派な親バカ過保護でそのうちリリスちゃんへの恋心にも気づくんですけど…如何せんリリスちゃんはヒソカに殺される気満々なんです。

最初こそ逃亡や自殺も考えていましたが、ちゃんと世話してくれるヒソカに恩を感じて、恩返しになるなら楽しませて殺されよう、どうせあのとき死ぬはずだったんだし…と考えるようになってます。

元々嘘つきなヒソカはアプローチしても全て悪ふざけに取られます。昔から本当に悪ふざけしてたのでいざ本気になっても本気にとってもらえません。

なんという狼少年ストーリー…

ひたすら自業自得だけど不憫なヒソカと健気だけど思いこみ激しいリリスちゃん。



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