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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -



  スパナ成り代わりが相澤の相棒


転生に転生を重ねたスパナ成り代わりが相澤の相棒になる。

一般人→復活(スパナ)→MHAといった具合に転生。
精神年齢は余裕で100歳超え。そろそろ仙人になれそうな気がする。
性格はスパナ(原作)に引っ張られたのか酷いマイペース。日本のものが大好き。日本人も好き。メカ大好き。無個性。
強く興味が引かれたものを目の前にすると周囲が見えなくなる。サポート科では神様扱いされている。ちょっと引いてる。

金髪巻き毛のベリーショート、中肉中背だが白人独特の白い肌と蒼い瞳は結構目立つ。発育もいい。おしゃれに無頓着でまともな私服がなく、ツナギばかり着ている。

現在は雄英高校のセキュリティと試験などに使うロボの管理、開発を請け負っている。サポート科の授業も僅かだが担当している。今期からヒーロー科の生徒に対してコスチュームのサポートギミックについてアドバイスも始めた。

ヒーロー名:メカニック・スパナ
無個性ながら自らの発明だけでヒーローを務めた前代未聞のヒーロー。容姿は不明とされている。いつもガスマスク頭のロボット(ヒーローモスカ)に乗っておりイレイザーヘッドのサポートをする。声では女性とされているが変声機の可能性もあるので性別も不詳。活躍時期は長くはなかったが伝説となっている。

イタリア出身で12歳まではボンゴレ領地内で暮らしていた。記憶もちの一同(ツナや正一たち)でボンゴレファミリーを自警団にするために奔走。
それが達成されたため中学から日本に留学してきた。
無個性だが死ぬ気の炎と自らの発明があるため劣等感などはない。自分は自分。
直接戦闘は嫌いだが、そこそこできる。銃の扱いも。

イレイザーヘッドやプレゼント・マイクとは同級生。雄英高校サポート科卒。
サポートギミックの開発を行う事務所を個人経営していたがイレイザーヘッドの戦闘を見て興味を引かれ、押しかけて相棒になった。

ボンゴレことツナの炎に強い憧れと興味を抱いており、それを「ボンゴレはうちが惚れた男だ」と称してしまうため周囲からの誤解が耐えない。二人はただの友人。

相澤の片思いから始まり、正一やツナとの仲を疑ったり悩んだりする人間らしい相澤を書きたい。
スパナは長年恋愛から遠ざかっていたせいで恋愛感情とは何ぞや、という激にぶ状態。がんばれ。









《出会い》


「なぁなぁ!あんたさ!そこのあんただって!黒尽くめで小汚い感じの!」

町を歩いていると突然後ろから話しかけられた。
馴れ馴れしい上に小汚いとは失礼な。自覚はあるが他人から指摘されるとどうにも腹が立つ。
振り返ると俺のことを言えないくらいに煤やオイルが付着したツナギを着ている外国人がいた。一瞬身構えるが敵意は感じないのでとりあえず返事をしておく。

「……なんだ」
「あんた、イレイザーヘッドだろ」

たれ目の蒼い瞳をきらきらと子供のように輝かせながら謎の外国人は言う。
髪型やゴーグルで顔を隠しているので街中で俺をイレイザーヘッドと認識されたのは初めてだった。

「うちをあんたの相棒にしてくれ。絶対役に立つぞっ」

女性らしい容姿に似合わぬ口調と服装の彼女、スパナとの出会いはこんなハチャメチャぶりだった。

工房に引きずり込まれて自ら開発したという品を次々見せられた。最初は隙を見て逃げようと思っていたがスパナは天才というに相応しい腕を持っていた。
見たこともないギミックやロボットに惹かれるのは男なら当然のことだと思う。

「あんたの個性はいい。うちは好きだ。だからうちの力でもっと強くなってくれ」

屈託のない笑顔でそう言われてしまうと弱かった。
結局押し負ける形で個人契約を結んでしまった。






《引退》

「うちは今、消太に雇われてるってことでいいんだよな」
「まあ形はな。それがどーした」
「ん、じゃあ、これ」

差し出された細長い封筒状のもの。達筆な字で退職届≠ニ書かれていた。
何の冗談だ、とスパナを見るもいつもどおりの読めない眠たげな表情だった。スパナは突然妙な思いつきで悪戯を始めることがあったから、今回もそれだと思った。

「消太がなに考えてるか大体分かるから言うけど冗談じゃないぞ」
「は……?これ、本気なのか?」

呆然と尋ねるとスパナはお気に入りの棒つき飴をくわえたまま一つ頷いた。
心臓のところにごっそり風穴があいたような喪失感に襲われ、額に冷や汗がにじんだ。何で、こんなものを感じるんだ。

「やっぱり無個性っていうのは公開するべきじゃなかった。無個性のヒーローを応援してくれる人もいるが、やっぱり見下されたり舐められたりすることが多くなった」
「お前、そんなの気にするタイプじゃねぇだろ」
「うちはな。でも消太まで悪く言われるのはいやだ」

「それに、ヒーローはその存在だけで犯罪の抑止力にならないといけない。うちには、無理だ」

「消太、うちの我侭に付き合ってくれてありがと。サポートアイテムのメンテナンスはいつでも請け負うから言ってくれ。じゃあ、」
「なら俺も辞める」

「ドライアイも酷くなってきたし新世代も台頭してきてる。このへんが潮時じゃねぇかと思ってたんだ」
「嘘だ。イレイザーヘッドはまだまだ通用する。うちに引っ張られることないんだぞ、消太」
「組んでもう6年だぞ。単独での戦い方なんで忘れちまってるよ」
「それでも強い。うちはまだイレイザーヘッドのファンでいたい」
「そりゃ止めねぇよ。再就職先に当てはある。ヒーロー業は、引退だ」

スパナは俺の相棒だ。手足みたいなもんだ。それが違う方へ歩き出すってんなら、俺も付き合うのが道理だろ。
困惑しているスパナが珍しくて少し笑うと、笑い事じゃない!と怒られた。
そして、漸く自覚する。

自分がこの破天荒でマイペースを極めたメカオタクに、どうしようもないほど惚れ込んでいることに。









結婚までいけたらいいな。

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