行橋ちゃんがクインクス
目箱の行橋未造成り代わり。
名前は行橋未来。22歳。地位は二等捜査官。
箱庭学園を卒業後、ドイツにあるアカデミーを王土と共に飛び級で卒業。ドイツ局で白単翼章を与えられるほどの功績を残す。
その後、クインクスの実験に協力するために帰国した。
内蔵されているクインケは羽赫。矢のように細く鋭い形状をしている。
クインクスになった理由は「黒神くじらに呼ばれたから」
強い精神力を持つ行橋なら手術にも耐えられるだろうということで推薦を受けた。
クインクス第一号のためフレームがやや甘く、Rc値は985。
異常はまだ健在。王土も異常を失っていない。
しかしコントロールが効くようになったため長袖長ズボンなどで肌を隠していればむやみに心を読んでしまったり電磁波で精神を圧迫されたりすることはなくなった。
佐々木と六月には未来ちゃん、不知にははっしー、瓜江には行橋と呼ばれています。
聴覚が自分の名前を拾うと、意識が浮上する。
行橋はベッドでうつ伏せになり、枕にゲーム機を顔を埋めていた。
目元を擦りながら起き上がり、もぞもぞと着替えていると再び呼びかけられた。
「未来ちゃん、ごはんですよー!」
『はぁーい!今行くよ佐々木一等!』
階下に降りると一番初めに黄色い頭が目に入った。
『あっ!今日は不知くんもいるんだね!』
「よぉはっしー。また才子をすれ違いナントカやって夜ふかしか?」
『すれ違い通信ね。バトルは僕の完勝だったけど!』
「それで才子拗ねてでてこねーのか」
『えへへ、ちょっと大人気なかったねっ』
「今日はサッサンのハンバーグだぜ!」
『わあ、佐々木一等のハンバーグ大好きっ』
童顔をほころばせて喜ぶ行橋の背中に、冷ややかな声がかかった。
「俺は無視か」
不知の向かいの席に座っている瓜江だった。ギチッと癖になっている歯ぎしりをする。
『なんだ、瓜江くんいたの?まだ食べ終わってないの?遅くない?』
「俺はシラズと同じ時間に来たんだがな(この腹黒女め)」
『たぶん瓜江くんのお腹よりは白いと思うなぁ』
「読むなこの化物…!(テメェなんぞと比べるな)」
『ぼくも瓜江くんと並べられるの嫌だよ』
口調や表情は柔らかいままのはずが、声色と言葉だけが冷え切っている行橋。
「はっしー、何うりぼーとナイショ話してんだよ」
不知が少しむすっとした表情で行橋に話しかけると、彼女は花が咲いたように笑った。
『なーんにも!ただの世間話!ねー佐々木一等なにか手伝うことあるー?』
「んーちょっと運ぶの大変かな?不知くん手伝って!」
「ああ!?俺かよ!」
ぶちぶち文句を言いつつ素直に立ち上がる不知。その背中を見て行橋は興奮気味に瓜江をバシバシ叩き始めた。
『…ああもう不知くん可愛い!聞いた?ねえ聞いた?ナイショ話だって!』
「叩くな馬鹿女(気持ちわるい顔で笑うな)」
『瓜江くんに笑いかけてるわけじゃないからね?』
「勝手に心を読むな(無神経女が)」
『瓜江くんのは勝手に聴こえてくるんですぅー』
ぷいっとそっぽを向いた行橋はそのまま頬杖をついてキッチンでひょこひょこ動く双葉を見つめ始めた。
桃色に色づく頬を見て、瓜江の歯がまた嫌な音を立てる。
「…俺にそんな話をするな、この鈍感」
『瓜江くんなにか言った?』
「……………別に(鈍感ばか)」
……………………………………
シラズ←行橋←瓜江という三角関係。
瓜江は途中までは無自覚なんですがこの時は既に自覚している様子。
肝心な感情は読めない行橋ともんもんする瓜江と何も知らないシラズくん(うまい)
行橋は感情に裏表がないシラズにめろめろで腹黒い瓜江にはちょっと冷たい。
瓜江は自分の本心をわかっているのに陽気に接してくる行橋に惚れてる。
オチは個人的にはシラズくんがいいんですけど、話の流れ的には瓜江くんなのかな?
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