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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -



  大空が羞恥する日


今日は入学式でした。

ちなみに小学校ではなく中学校の。
ロクな思い出がない小学校時代…中学では必ずそれを挽回して見せる!と意気込む俺の心を初っ端から折らんとする彼の姿。



……うん、あれ見てほしい。いややっぱり見ないで。



「市華ーっ!可愛いよーっ!さすが俺の妹!」



何でいるのですかお兄様。

入学式は基本的に新入生とその家族のみの参加。

生徒会の人たちは進行の手伝いや在校生代表の言葉のために参加らしいけど、2・3年は午前中授業のはずだよね?ねぇそうだよね?



はい、こちらようやく12歳になれた沢田綱吉もとい幸村市華です。


あんなイタタタタな兄を持った所為で小学校の友達は皆無です。

6年生で若干仲良くなった子はいるけど、男子は皆無。

兄さんは一体何をしたのかな。話しかけようとすれば逃げられる、触れれば悲鳴をあげられる、挙句の果てには目を合わせれば死ぬのかというほど避けられる。

イジメだ。これは確実にイジメだ。
そう思って兄さんにぽろっとそれをこぼしてしまったのが運のつき。

翌日から俺をあからさまに避けていた男の子たちは学校から姿を消した。
それからの俺の扱いと言ったら…まさに腫れ物にさわるよう。

朝、登校とともにクラスメイトがずらりと並んでお出迎えし、「おはようございます幸村さま!」「お荷物お持ちします!」とかさあ…どこの極道なの?揃いも揃って獄寺くんなの?

そんな泣きたくても泣けない6年生を乗り越えても俺の不運は終わらない。
兄さんに言われて半ば強制的に中学受験させられて合格して入学。
またあのシスコン暴走特急と同じ学校になってしまい入学式からこの有様。



…俺の人生って何ですか。



俺の人生は他者によって決められる運命なんですか。
もうマフィアのボスでも何でもいいから兄さんからの呪縛から逃れたいです。


「あの格好いい人誰!?」

「妹いるんだー仲良くなりたいなぁ…」

「そうすればあの先輩と仲良くなれるかな?」


あーあ…早くも振り回されそうな予感。

兄が人気者って本当に疲れるね。
人気者と友達、の方が遙かに楽だ。

山本とか獄寺くんとか、2人はいつも俺の傍にいたからいろいろ言われたな…なんであんなダメツナの隣に!みたいなさ。

今思えば俺の周りには美形揃いだったなぁ…雲雀さんは暴君だから表だって言う人はいなかったけど隠れファンみたいなものがいたらしい。骸は当然イケメンだし、その容姿で黒曜の女子を操っていたこともあるとかないとかクロームが言っていた。

京子ちゃんのお兄さんの熱血スポーツマンぶりにあこがれる人もいた…けどそれはお兄さんが根っからのボクシング馬鹿で常時死ぬ気の男だと知らないからだ。

ランボも十年後は見違えるように格好良くなっちゃうしね、中身はともかく。ディーノさんもモテモテだったよな、ドジだけど。



…あーダメだ会いたくなってくる。



リボーンがいてくれたらな。
仲間がいてくれたらな。



どんな世界でも、俺は頑張れるのに。




「新入生の野郎ども、俺の可愛い市華に手ぇだしたらぶっ殺すから!」


背景にキラキラのエフェクト背負ってとんでもないこというのやめてもらえるかな、兄さん。
俺、もうぼっち生活いやだよ。兄さんと2人きりはもっと嫌だよ。





まあ、俺のそんな願いは最悪な形で叶うわけだけど。

 

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