×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



  大空が過ごす日


「いちか、あぶないよ?そんなとこのぼっちゃダメだよ!」

『…にいさん、たかがすべり台だよ』

「たかがじゃないよ!おりておいで!」


はい、3歳になった沢田綱吉もとい幸村市華です。

兄さんが過保護です。
言葉は悪いですがうざったいです。もう本気でこの人どうしよう。
忠誠心暴走モードの獄寺君よりうざいです。

ごめんね獄寺君、君はマシだった。


この兄のせいで何歳になっても楽しい遊具たちでおちおちはしゃぐことも出来ません。


『…にいさんはなにしてるの?』

「にいさんじゃなくておにいちゃんでいいのに!」


…俺の話聞いて、お願いだから。

俺の周りにはまともな人は来てくれないのかな。
そう言う呪いでもかかってるのかな。


『にいさん、なにしてるの?』

「え?もちろんかわいいいちかをみまもってるんだよ!」


兄さん、ストーカーと呼ばれたことはありませんか?
早くも兄さんの将来が非常に不安なんだけど…


「おれのしょうらい?しんぱいしてくれてるんだ!いちかはやさしいね!」


兄さん、俺の心の中を読まないで下さい切実に。
読心術ってこんな小さいころから身に着けられるものなの?


「おれのまねしておれっていってるの?だめだよ!いちかはおんなのこなんだから!」


違うよ、俺が元々はおt…危ない!兄さん心読めるんだった!


「ちがうよ、きこえるんだよ」



…俺、閉心術を身につけよう。

死活問題だよこれは。心の中でくらい自由に喋りたい。言論の自由は我慢するから思想の自由は守ってほしい。



「ねえー!いっしょにあそぼー?」

『あ、うん!あそb「いちかはおれとあそぶんだよ」…にいさん』

ええ、こんな感じで俺はどんどん孤独になっていきます。
兄さんの黒い笑みに子供たちが怯えるのは当たり前だ。



『…はぁ、』

「いちか、どうしたの?つかれた?」




でも…これでいいかも、な。


だって、友達も親友も作りたくないんだ。


自分の世界に他人を入れることが恐ろしい。


失うことが何よりも怖い。


置いて逝くことが何よりも辛い。




『……にいさん』

「いちか?なぁに?」

『……ううん、やっぱりなんでもない』

「なんでもいってね?おれはいちかのおにいちゃんなんだから!」




ありがとう、兄さん。


大好きだよ。





大空が過ごす日
(あったかいこの兄を)
(誰より尊敬しています)

 

[back]