注:BLです 苦手な方はスクロールかバックで!





とあるファミレスの奥。
彼ら、そのファミレスの従業員、は今日も今日とて騒がしい。


「ユーリ…君は今日も最高に綺麗だね」
「ハイドーモだから今すぐ離れろオレの腰を撫でてるその手をどけろ」
「デュークせんっぱぁぁいっ!
おはようございます…!今日も大好きですよ先輩!」
「…おはよう……そうか」
「あぁっそんなクールさがいいっ」
「…あいつはまたデュークに…!」
「妬いてるユーリも最高n」
「黙れ」


毎日がこんな調子である。
まさかファミレスの裏でこんな会話がなされているとは、誰も思わないだろう。
否、思う方がおかしい。


「あ、ユーリおはよう」
「…本当オレにはさっぱりだな」
「デューク先輩と比べちゃいけないよ!」
「はぁ…もういいからお前の兄貴どうにかしてくれ」
「ユーリ、どうしてそんなことを…」
「うぜぇなあたりめぇだろ」
「え、だってユーリに関しては兄さんおれの言うこと聞いてくんないし…」
「僕はユーリが大好きだからね」


さらっと変なこと言ってんじゃねぇ、とフレンはユーリに拳をお見舞いされた。
…鳩尾に。


「ぐっ…」
「お、離れた。毎日殴りゃ良いのか?」
「それでいいと思うよ。
…そうしないと兄さんは止まらないかな…」


どこまでも変態である。
自分の兄にそう思ってしまった。
そう、申し遅れたがおれは、
…今さっきまでユーリにセクハラ行為をしていた人…フレンの弟である。


「…まぁ、お前もこいつと同じ血が流れてるわけだから…大概変態だよな」
「何を!おれを兄さんと一緒にしないで!
おれは純粋にデューク先輩が好きなんだからっ」


と、肩を抱きながら頬を紅潮させるその姿は…
…まさしく変態だった。


「まずデューク先輩は美しい!
人間じゃない!もっと神々しいのだよ…!
あの綺麗な銀髪!何なのさあれ…っ
もうっ素敵過ぎてワケわかんない!」
「………、複雑だ…」
「加えてあの宝石みたいな瞳…
あれ、ユーリ何か言った?」
「…はぁ、鈍感だよな、…」


…え、おれが?
おれそこまで鈍感なつもりないんだけど…


「ていうかさ、なんかユーリさっきから口ごもってるけど…
あのユーリが口ごもるとか、…まさか」
「お、なんだよ」


これは気付いたかと思いきや、やっぱりそうは行かなかった。


「熱でもあるの!?」
「…おま…ほんっと…もういい分かりきってたしな…」
「駄目じゃん休まないと!んー…大丈夫?」


聞いてねぇ、とユーリは思った。
すると、急に目の前の男は閃いたかのような顔をした。


「ユーリ、うごかないでね」
「は?…おわっ…!」
「熱…うーん…分かんないなぁ…」
「(顔近ぇ…!)」


ユーリは後頭部に手を添えられたかと思うと、おでこに温かさを感じた。
その温かさは目の前の男のもの。
キスできそうな位の至近距離に、つい心臓が早鐘を打つ。


「…むしろおれの方があったかいかも?」
「……鈍感も程々にしてもらいてぇもんだな」
「へ、ちょ、ユーリ?」


ユーリはライの頬に手を添え、さらにその距離を縮めようとした、が。


「させないっ!」


あの変態に割り込まれ、縮めようとしたのみに留まった。


「フレンてめぇ…ッ」
「あ、兄さん起きた?」
「ライ…っお前ってやつは…!
どうして兄さんが苦しんでる間にユーリといい感じになってるんだい!?」
「え、そんないい感じになったっけ?」
「ライは僕の純粋な想いを応援してくれると…」
「純粋な想いってなんだ?
セクハラ行為してくるお前のどこが純粋なんだよ!」
「てか、おれ応援するなんて言ってない」

酷い、酷いよ二人とも!
そう言うフレンが一番酷い(変態度が)と思ったのは二人の秘密である。


「……あと少しで開店時間なんだが…」
「あっデューク先輩っ!
すみませんじゃあおれ今から…脱いできます」
「普通に着替えるって言えよ!」
「デューク先輩…覗いても良いですよ☆」
「……………………」
「困ってるから早く行ってこい!」


そうユーリに急かされ、ライは渋々更衣室へ行った。



* * *



今日は…ホールかぁ
嫌なお客さんをおれが担当しませんように!
するなら兄さんね!
そんなことを思っていると、注文待ちを表示する電子掲示板にピコン、と音を立てながら数字が表示された。
お、仕事仕事っ


「お待たせしましたー
ご注文を承りますっ」
「えーと…唐揚げ定食一つで」
「唐揚げ定食一つですね、少々お待ちください」


ライは厨房に戻り、注文を言った。


「デューク先輩っ、頑張って下さい!」
「…お前も、…無理はするなよ」
「あぁんッ…デューク先輩に頑張ってって言われちゃった…!
おれ…頑張ってお客さんの相手してきますね!」
「相手ってお前が言うと卑猥だ」
「うん、そういう意味も込めて言った」
「やっぱりかよ!」


早くホールに戻れよ、そう言われたが聞かず、ずっと出来るまでデューク先輩を見つめていた。
あぁ…やっぱり綺麗…!


「はいよ、テーブルに持ってってくれ」
「んー…
ねぇ、前から思ってたけど、ユーリも綺麗だよね」
「…は?」
「おれ、綺麗なひとは好きだよ」
「…な、…に言って、」
「おれはユーリも好きだよ、ってこと」
「ッおま……」


その言葉とふわりとした微笑みを残し、ライは去った。
それと共に、ユーリにはやりきれない思いが残る。


「…くそ…なんだってんだアイツは…」


思わず赤面し俯く。
あの綺麗な笑みには、正直なにも言えない。


「…オレが思ってる好きとはまた…違うんだろうけど、」


それでも嬉しく感じるのは、あいつを好きな時間が長かったからだろうか。
少し微笑むと、なにやら機械音が。


パシャ


ユーリはその音に意識が再浮上した。


「……おい」
「ユーリの赤面と微笑み…!
あ、ユーリそのままでいいよ僕のことは気にしないで」
「気にしねぇわけねぇだろっ!お前なに盗撮してんだ…!」
「え…なんでって……うーん…」
「どうしてそこで困るんだよ!」


この変態!そうユーリに言葉を浴びせられたフレンは、変態と言われたことがショックだったのか、暗い影を落としてホールへと戻った。



.






「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -