メガネからの世界
そのメガネ、度キツそうだなぁー
また、高尾の軽い話が始まった。
「真ちゃん、メガネ貸して?」
「いやなのだよ。」
「いいじゃん?もーらいっ♪」
すっとのびてきた手は
真っ先に俺のメガネを掴み
「やめるのだよ!」
俺の注意も聞かず
慣れないメガネをかける。
「うおっ!……きっつー!あったまクラクラするわ…」
歪みきってるであろう世界を
面白いのか
ぐるりと見渡して
「んでも、これじゃぁ真ちゃんがよく見えねぇーや。」
そうなのだ。俺はそれがいやなのだよ。
メガネがなくては
お前がよく見えない。
どこにいるのか。
どんな表情なのか。
俺を見ているのか。
なにを思っているのか。
何一つ見えない。
メガネからみえる世界は
高尾がいて、
「俺もお前がよく見えん。さっさと返すのだよ。」
悪くない、
そんなものだったりする。
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