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雨上がり、のち晴れ。(みあ様より)


わたしの視力2,0アイズが見慣れた背中をロックオンし、たったった、とリズミカルに廊下を駆けていく。それから目標に近付くと、とりゃー、と勢い良く掛け声かけて、たんっ、と体を宙に浮かし、右足を前に突き出す。目標の背中にクリーンヒット、と思いきや、前を向いたまま相手は右手を後ろ手にして、がっ、とわたしの足首を捕らえた。え、と声を上げるのも束の間、わたしはそのまま床に戻り、左足だけで自分の身体を支える形となる。不安定、まさに不安定な状態である。

「うわっ、ちょ、危ないって、スカ、スカートがあああっ」
「いつも同じ手に引っかかるとでも思ったか」
「いいから手え離せって、ちょおおお、痛いか ら!足痛いから!」

わたわたともがくわたしを彼は一瞥し、鼻で笑うとようやく手を離してくれた。が、わたしはもう限界で上手く立つことも出来ずに一瞬の浮遊感を感じるとそのまま、べしょ、と床に倒れこむことになった。何とか両手を使ったのでわたしの顔は無事である。それを一見無表情である彼が冷たい目で見ている、という構図に傍からは見えるがあれは違う。完全に奴は笑いを堪えている。微妙に、本当に微妙に口元が緩んでいる。何という性格の悪い奴であろう。それをじと目で返すわたしに、ため息を吐いて手を差し出す。しかしわたしは少しだけ震える表情筋を見逃さなかった。差し出された手を有難く受 け取り、わたしはすっくと立ち上がった。

「あー普通身長差考えたらあの体制はきついっ て」
「不意打ち狙って飛び蹴りかましてきた奴に言われる筋合いはない」
「一種のコミュニケーションですよ。わたしと みっちゃんとの仲ではないか」
「勝手に渾名を着けておいて付きまとってくる貴様は、」
「でも別に嫌じゃないでしょ?」
「…」

彼の台詞を遮って問えば黙り込んでしまわれたのでわたしのターン。思いっきり笑ってやった。それから、これからどうするー、と投げかけて、本屋と答えられたのでよっしゃ行こうぜー、と彼に自分の荷物を持たせてわたしは軽くなった身体でスキップするように弾ませなが ら昇降口へ向かう。何も言わずに鞄を持ってくれているところを見ると、そこまで嫌がられてもいないようだ。 外に出ると雨上がりの匂いがした。まだ水溜りは大きくてそこらじゅうにある。それを避けながら駐輪場で彼の自転車様のところへと。

「ねえ、今度こそわたしが漕ぎたいんだけど」
「これは私のものだ」
「でもさー、わたしはみっちゃんを後ろに乗っ けてみたいなー」
「…貴様、足着かないだろうが」
「小さい言うなばか!!」
「言ってない」

むすっと剥れていると彼はちゃっちゃと鍵を入 れ、鞄を籠に押し込み、スタンドを軽く蹴って手で押してしまっていた。それから通りに出ると立ち止まってこちらを見るのでとてとてと近付いて荷台にちょん、と横座りする。そんなわたしを乗せたままその両の手で自転車を支えられるこやつが恨めしい。その筋力分けてはくれないだろうか。 校門を出て、道路に出れば彼は自転車に乗って漕ぎ始めるのでスピードがうんとあがる。一本足立ちのわたしには無い安定したフォームである。揺らしてやろうか、と思ったが水溜りに落ちたら嫌だし、痛そうなのでそれは心の中に留めておいた。

「…あのー、みっちゃんよ」
「何だ」
「その大きい水溜りに突っ込もうとか考えてませんよね」
「気付いてしまったか。貴様には死んでもらお う」
「うわああああ濡れるってうわああああ」

両足を上げて何とか水を回避しようとするが、 如何せんバランスが崩れてしまいそうで彼のワイシャツの背をきゅっと握る。長月の雨上がり、汗ばんだ制服。本屋が見えてくるころ、そろそろ秋だな、と思った。





雨上がり、のち晴れ。
(よくある二人の)
(青春の1ページ)





→お待たせしました!特にご要望が無かったので思いっきり三成さんには青春させて貰いました。全くもうつかず離れずの仲良し二人組みの図です、腐れ縁が続いちゃうそんな関係です。少しでも楽しんでいただければ幸いです。 先日はもう…素晴らしすぎる三成様画を頂いてしまい…みあめは眼福で御座いました…! それでは、緋珱様、相互有難う御座いました。 これからも末永くよろしくお願い致します。









―――――――…
こちらこそよろしくお願いしまぁああああああぁぁあああああ!!!!!!す!!!!!!!
もう随分昔の約束(?)を覚えていらしたようでやっと…やっと相互記念を贈れました…そしていただいてしまった!!!

自分の文では到底紡ぎ出せない躍動感と若々しさ、愉しげな雰囲気にもう始終ニヤニヤ、ニヤニヤが治まりどころを知らずよだれが垂れt(略)

みあ様!この度はこのようなところと相互をしていただき、加えてこのような素敵文をくださり本当にありがとうございましたぁあ!!!



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