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3-2






だがまぁ、眠れないわけだ。いや、寝たけどさ。寝たけどもう十分って目ェ覚ましたら外真っ暗。
元々2〜3時間くらいしか寝ねぇし…いや、不眠症とかじゃないと思うぞ?なんつーか、慣れ?


残念ながら私は親と一緒に住んでるわけではなく高校生にして一人暮らしだからなー…そんな珍しいことでもないが。生活費とか学費とか稼ぐのに時間回してたから睡眠とか疎かだったしなー…飯は食うけど。



「主、眠れぬのか…?」



どういうわけか腕に居る包帯の少年も起きていて…さっきよりは落ち着いたのだろうが一向に胸元から顔を離さないのは見られたくないからか。可愛いからいいがな。



『眠くねぇんだよ』

「それもそうよな…このような者が腕にいては」

『まだ言うか』



コツっと軽く頭をぶつけるとヒヒっと笑いで返してくる。横にいる佐吉は未だ夢の中。すやすやと警戒心のない顔はものすごく可愛い。


遠くで何かが遠吠えする声が聞こえる。犬か、狼か、何にせよ夜中だというのはわかる。みんな眠りに入り、真っ暗で、すげぇ静かだ。と言っても外から虫の鳴き声なんかも聞こえてきてただ静かなのよりずっと怖い。


こんくらいの時間帯って私バイトしてるぞ…。未成年が21時以降に仕事をするのは法律上許されていねぇ?ような感じだったけど事情を汲み取ってくれた顔見知りの人が私を雇ってくれている。と言ってもコンビニのレジ打ちだから暇なんだけどな。
雰囲気が高校生らしからぬから大丈夫だろって老けてると言いたいのかと食いついたのは一年ほど前だろうか。



「主も、そこに居る佐吉も、まこと不思議よのォ…フシギ」

『私からしたらアンタの方が不思議な子だよ』



やれそうか?ソウカ?と小さく揺れる包帯の少年。
この子が揺れる時は楽しいと思ってる時だ。会ってまだ数時間だがこの子らの性格はなんとなくわかった。つもりだ。



『そういうアンタこそ寝ないのか?いい子はまだ夢の中にいる時間だぞ』



ほら、と視線を佐吉に移す。



「なに、われはいい子ではない故…例外よ、レイガイ」

『そうかよ』



この縄さえなんとかできりゃあ逃げれるんだけどなー…いや、逃げるとなれば佐吉と包帯の少年を連れてだけど、包帯の少年は足が不自由みたいだし、私が抱えることになるが…そしたらあんまスピード出せねぇだろうなー…佐吉もいるからあんま飛ばすと転けたり追いつけなかったりしそうだ…


困ったな



「逃げ出そうと企んおるのか…?」



聞かれ、ああ…と気のない返事をする。



「ヒヒ、主もアホよの。大人しく迎えを待てば痛い目を見ずに済むものを。見たことのないナリをしておるが主、それなりにいい家の出であろ?なにゆえそうもじっとしておれなんだ」



…………なんだこいつ!!!
なんかさっき私が思ったことと同じこと思ってるうううう!!!


うえええぇええ、人と同じ意見んんんんんん
なんて思いながら無表情で彼を見つめていると奇っ怪な顔よのと言われる。


るっせ!



『さっき同じようなことを佐吉に言った』



言うと笑う。なんなんだこいつさよかサヨカと言いながらヒッヒと…アンタ息できてんのかよ…



『したらコイツ、ただ待っていては手に入れられる機会も逃がすって言った』



そんな馬鹿じゃないってね。
それ聞いたら何が何でもここから逃げ出してやろうって思うだろ?


同意を求めればますます激しくなる笑い声。しまいには咽る。おま、その内その笑い方を原因に死ぬぞと顔を顰めながら背中を摩ってやる。


それを聞いた佐吉が起きる。眉間にものすごいしわを寄せて。
それを見た包帯の少年はやれすまなんだとその頭を撫でてやるとまた私にもたれかかって眠りに入る。



「まこと、主らは面白い」

『アンタには勝てねぇよ』



そのあとも包帯の少年と言葉を交わしていると外が次第に白み始めた。それを合図に女どもと外の男どもが起き出したのか、少し騒がしくなる。




















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