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7-3






『そういやアンタはいいのか?私に構ってて』

「えっ、あ……うん」



…これダメなパターンだろ、絶対。
いつものようにのんびりしていた時にふと思った。ことを口にしたらこのザマだ。



『どうした、言ってみろ』



ゆっくり、ゆっくり歩いてこちらに向かってくるヤサブロー。なんだ、どうしたマジ。三つ編みでもして欲しいのか。出来ねぇぞ。



「え、とね」

『ん、』

「名前は…」

『…』

「……名前は、恋仲とか…いたり、する…の…?」

『………………は?』



…どうしたヤサブロー…急にどうした本当にどうしたマジどうした。てかやるべきことそれか



「だっ…だから、名前は恋仲の人とか――…」

『っだああああああぁあああ何度も言うな!!!』

「っ!!ご、ごめんなさい」

『ぁああぁー…まて、違う』



んあーもう、そういう顔させてぇ訳じゃねぇのに…悪い、と頭を撫でてやる。いつもと違ってそっと…。
しかしそんなことを聞かれる日が来るとはなー…しかも恋仲って…ようは恋人だろ?いねぇよちくしょう。ぅあー…

いないと一言そういえばいいのに自分でも分からないが無駄に言い澱んでヤサブローの頭を撫で続ける。もうその癖がついてしまったようで無意識になでてしまう。
と、ヤサブローも慣れてきたのか最近では擦り寄ってくるようになった。そういう時は引き寄せて足の間に座らせ背後から抱きしめる。だって可愛い。



『どうだと思う?』

「え……と、」

『居そうか?居なさそうか?』



肩口に顎を乗せ顔を覗き込む。彼の膝裏に両足を通すように胡坐をかけば完璧だ。なんて居心地のいい態勢。



「い、いそう…」

『世辞はいらねぇぞ?』

「お世辞なんかじゃない!!名前は人気がありそう、だから…」



きょとん。
効果音をつけるなら私の顔は今そんなだろう。



「物知りだし…器量がいいし…かっこいいし、頼れるし、安心するし、あt――…」

『待て落ち着け!!』

「んぐ!!」



抱きしめていた腕を口を抑える方に回す。続けさせてたまるか、マジで待て、



『少し、口を閉じていろ…』

「んっ…」



お?今の声ちょっと色っぽくね?ちらと視線をやれば頬を染め顔を赤らめこちらを見上げていた。
…ああ、耳元で喋ったのがいけなかったか?いや、位置的に仕方ねぇじゃんってかなんだ耳弱いとかなんだそれそっちの人からしたらこれってかなりオイシイ状況じゃないかなんだこのデジャヴ。
とりあえず耳元で喋れば大人しくなるだろうことは分かったので有効活用する。



『いい子だから…な…?』



こくこくと頷かれる。これか、これがあれか、旦那が嫁に対して抱く征服感とかそんな感じか。いや私にそんな趣味はないのだけど。大事すぎることだから何度でも言うぞ、これからも言う。私にそんな趣味は無い。



『よーしよし、』



大人しくしてくれているヤサブローの髪を撫でいい子いい子と囁く。もう口を動かす様子がなくなったのを見て口を覆っていた手を外す。

さて、これからどうしようかと頭を巡らせている時だった。



「ここか!!」



そう叫ぶ少年の声と同時にスパーァン!!と勢いよく障子が開かれる。ああ…壊れる…。



「う…取り込み中だったかい…?ご、めんよ」

『…………』



ほんっっっっっっとうに申し訳なさそうな声色、表情でそう言われ、障子を閉じようとしたその少年を必死に引き止めた。




















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