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6-2






私の目を鬼のそれと表現したのは目の前にあった大きな船の人だった。海賊船だ、海賊だ、きっとあれが船長だ。



「ほらよォ!俺の息子は白銀の髪を持った別嬪さんだ!」



ひょいと首根っこ掴まれた何かが掲げられた。人だ。苦しそう。
つか息子さん?息子さんそのままだと窒息死すると思うんだけど…

言葉の通りの白い髪した子がいた。白髪?しらが?いや、響き悪いね、銀髪か。同じ色をした包帯は巻かれていてもあまり目立ってはいなかったけど、



『…可愛い子がつけるにはいささか…』


上げられた瞳は潤っていて、そりゃあこんな周りむさいヤツらばっかだと怖いよな…。顔の半分を覆う包帯は可愛らしいその顔にはひどく不釣合で、周りに広がる海と空の色を吸い取ったような綺麗な青い目をしていた。
それにしてもここには銀髪の子って結構いるのな…佐吉もそうだったし。

うわ…佐吉…、
紀之介にも……あー…会いたい。というか無事村にたどり着けただろうか。



「カッハッハッハ!!!お前ぇよく分かってんじゃねぇか!!可愛いだろう!?」

『可愛いっすね。もう少し育ったら嫁に迎えたい』

「言うじゃねぇか、やらねぇけどな!!」



豪快に笑う、おそらくその船の船長だろう大男。楽しい人だ。拐われるならあちらが良かった。少し肌色の面積がこちらの人たちより多いような気がしないでもないけど。



「というわけでそいつァ俺の息子じゃねぇ…」



息子?え、あちらは息子さんと…。いや、そう言ってたしそう捉えてもいたけど今結びついた。超可愛いのに、マジか。女物の着物着てたしでつい…
あー…悪いこと言ったな。機会があれば謝っとこ。



「チッ、使えねぇ!!」

『ッ、…!』



また、背を蹴られる…。その際顔を思い切り床にぶつけた…。



『痛ぇ…』

「あ゛あ?」



手が不自由だと、バランスがこうも取りにくくなるんだな…ゆらり、不安定な動きで立ち上がる。使えないといったこの男はきっとこの船の長的な奴なんだろうが…知るか…



『痛ぇって…言ってんだろうがあぁぁああああああ!!!!!』

「っぐあああぁあ、ッ」



振り向きざま蹴りを食らわす。回し蹴り的感覚。足の届く範囲にいなかったらどうしようかと思ったけどそんな心配は杞憂だった。見事なクリーンヒット。ざまぁ見やがれ!!!





――うぉおおおああああああああぁあああああぁぁああ!!!――





………………え?

さんざん痛めつけられた礼ができたとせーせーしていたら急に騒然とする甲板。見れば目まぐるしく動く賊ども…。
え、どした?



「でかしたな坊主!!あとは任せな!!」



わしゃっと乱暴に頭を一撫でされた感覚、その手が離れていくと同時に頭を上げるといつの間にか向こう側の船長(仮)がいつの間にかそこにいて、状況が読み込めてない内にその人は私を通りぬき後ろにいる人たちを……燃やしとばした…

うん、間違えてない。燃やしとばs



「坊主はこっちだ!!」

『うぉ!!?』



ぐいっと引っ張られたかと思えば突然襲ってきた浮遊感。え?ちょ、なんだここの人たちは突然何かするのが好きなのか?何してんの?何してんの?って動揺してるうちにいつの間にか別の船の甲板にいて…



「お兄さん…そっちは危ない、から…」



乱暴に投げ捨てられた衝撃に悶えてるとつい、と小さく…本当に小さく服の端を引く力がした。新鮮だ…とても新鮮な感覚だ…



『さっきの可愛い子じゃないか』



この時この子は天からのお迎えだと思った私がいた。




















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