Novalis | ナノ


帰った





この地域はよく雨が降る所みたい。
今日も雨で、今日も慎重に道を進んでいる。またこないだみたいに人とかいたら…


っていたああぁぁぁあああああああああ!!!!!

なんなの!!?!?あの子なんなの!!?!?
同じような場所で、同じようにまた先日のお兄さんが何をするでもなく雨に打たれていた。え、雨に打たれて伏せることが趣味とかいうやつですか!?いや変えたほうがいいと思うよ特にお兄さんみたいにペラペラな人には良くない趣味…



「ダメですよ、お兄さん」



車を止め、傘を持ってお兄さんの元に行く。二回目ともなれば少しは冷静に動ける。というかなるべく車のシート濡らしたくないですと傘の意味がないとわかっていてもお兄さんの方に傾けてやる。



「ッ!!」

「うわっ!え、え…お、お兄さん…?」



同じように虚を見つめる目をしていたお兄さんに声をかければ勢いよくこっちを向いて手を掴まれた。え、ちょ、どうしよ、



「あのー…」

「………」

「………と、とりあえずこのままだとまた倒れちゃいますからお家まで送りますよ…?」



聞けばしばらくじっとこっちを見たあとふるふると首を横に振られる。え、帰りたくない?家出中か…いや、もしかしたらマジで趣味とか…



「濡れてたいの?やっぱり趣味ですか」

「…………」

「……あ、違う。……家、来ます…?」

「……………(こくん)」



…可愛い。
というか趣味じゃなかったんだね、じゃあなんでいるのかな?待ち伏せかな?…え。
少しこのお兄さんが危険だと思った。けどまぁ可愛いからいいとしよう。ね。

こんなこともあろうかと用意しておいたバスタオル。
というかこの人のためじゃないし実際こんなことが起こったためでもなく傘を持たずに雨に遭った自分用。だって風邪引きたくない。まだ一年も会社に勤めれてないのに休むとかホント無理、できない…。


バスタオルをかぶせて拭くように言ったはいいけどやっぱりシートは濡れた。もう何も言わない。
しかも拭くように言ったのに吹くどころか微動だにもしないお兄さん。動かないことが趣味とかだったらどうしよう。



家が見えてきたのになんでかすっごい疲労感を感じた。
きっといつぞやと同じような苦労(?)をすることになる…





[ ]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -