Novalis | ナノ


起きた





雨は嫌いだ――…








気づいたときには目の前に見知らぬ女がいた。
私が目を覚ました事の何がそんなに嬉しいのか、安堵に満ちた顔でこちらを覗き込んでくる。



「気がつかれましたか、大丈夫ですか?気分は悪くありませんか?あ、何か口にいれた方がいいのかな…」



…騒々しい、などと思う間もなくまくしたてあげられた。私の答えなど待つことなく女はそう口にすると私に背を向けた、その…女の手を…自分でもわからないまま意味もなくぎゅっと掴んだ。



「えっ、え……と、…どうしましたか?」

「………」



驚いた顔で私を見る女。
私自身何故こんなことをしてしまったのか分からない。頭を巡らせて理由を探しても見当たらなく、ただ動機が激しくなってまるで身体中が心臓にでもなったかのようにどくどくと脈打ち、頬が熱い。その上頭の中がぐちゃぐちゃにかき乱され、一瞬だが何も考えられなくなった。

…――己が何故こういうことをしたのかわからず焦っているのだろうか?
こんな感覚は初めてだ…。病にでもかかってしまったのだろうか…、悪化するようなら刑部に聞いてみよう。
片隅で今考えなくてもいいようなことを考えながら、しかし離したくないと思ったその手をそのまま掴んで無言を貫いていると、女は困った顔をしながらベッドの横にあった椅子を引いてそこに座り、苦笑を浮かべる。



「もう少し休まれてください。次起きた時に気分が幾分か回復しましたらその時に何か食べましょう」



さぁ、寝て…
とそう言われた気がして、手を掴んだまま目を閉じる。

女に伸ばしていた手が暖かい…、包まれているのだろうか…
まどろむ意識の中、その温もりに甘んじた。










変な子を拾ってしまったかもしれない…。
いやいやいや、落ち着こう。そう決めつけるにはまだ早すぎるよ#name2#君。

日付が変わった頃に青年が起きた。家事とか風呂とか諸々済ませた私がさぁ気が持てば寝ずの番をするぞーという時にパチリと。色々聞いたが青年は始終無反応。口にするものを用意しようと離れた時に手を無言で(しかもかなりの力で)捕まれ、上記のようなことを思ったわけだ…。
でもほら、一応体調を崩してるわけだしね、そういう時って人肌恋しいとか言うじゃん?それかもしれない。てかそれだ。
そのまましばらく様子を見ても無言で、しかも目が据わっていたような気がしなくもなかったため再度寝るよう促せば意外にもあっさり従ってくれて、ほどなくして寝息をたてた。可愛い。とか思ったのは秘密。



「起きたらご飯食べて薬飲んで、早く元気になってくださいねー」



あ、さっき起きた時におうちの電話だけでも聞いとけばよかった…。まぁしょうがない。起きたら家まで送ってあげますよ、

ってそういえば…なんであんなとこに居たんだろ…傘も刺さずに…。



(私が知ることじゃないか…)





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