Novalis | ナノ


疲れた





剥いてやったぜぇ…



恥と女は一度捨て、目の前のお兄さんをパンツ一丁にすることに成功。良かった、パンツは無事だった。パンツまで濡れてたら捨てた女etc.を拾いに行けなくなるところだった。危ない。

しかし驚いた…
なんだこの薄っぺらいお兄さんは…え、ダイエット中なの?嫌いな食べ物は炭酸化物ですとかそういうノリなの?下手したら私よりもy…やめよう、それ以上言うと私は一時捨ててるもの以上の何かを失いそう。

ひょろいにはひょろいんだけど男性としての筋とか筋肉とか骨格とかはいいバランス…てかなにこの人美しい。
肌とか不健康なほどではあるけど白いし、きめ細かいし、傷跡ひとつないし体毛………待って、やめよう。本当に重要な何かを失いそう。


ひとまず身体を拭き終わるとジャージを取り出し着せる。超頑張った、誰も私のこの頑張りを見てないけど私超頑張った。顔すごい近くてまつげが長いことに気づいたり不覚にもドキドキしたとかそんなハプニングを乗り越えてやったよ。
そしてそのまま玄関口で楽な態勢にさせるとそのまま放置する。

私だってこの人ほどじゃないけど一応雨に濡れたんだ…お風呂行きたいけどせめて着替えさせて。このままだとお兄さんをわざわざ着替えさせた意味がなくなるとさっと着替えを済ます。さすがに体調崩してぶっ倒れてるお兄さん放ってもたもた出来るほど冷酷じゃないよ…



「あー…どうしよ…」



部屋まですっごい遠いわけじゃないけど、車椅子で運ぶって手段が使えない今どうやってお兄さんを部屋に連れて行こうか…
自慢じゃないけれど勉強面の頭はそこまで良くない。つまりは私はチンケな頭しか持ち合わせていないわけだ。そんなチンケな頭じゃあ彼の足か手を引こずって行くという手段しか浮かばないわけだよ…

ああ、もう一つあった。それにしよう。

1LDKと快適な一人暮らしを送られるこの部屋のリビングには腰の低いソファーがある。社会人になれば宿題から解放されるなんて嘘だ。少なくとも私の勤めている所では終わらせられなかった急ぎのものは持ち帰ってやることになる。それか残業。残業が嫌な私は当然前者を取る、それが終わった時にそのまま寝れるようにと用意したソファーだ。
そんなことはいいけど、とりあえずその上にあるクッションを持って、お兄さんの足に敷く。

そうして上半身を起き上がらせ、背中からお兄さんの両脇に腕を回せば…



「お互いの負担の少ないベストな運び方…」



そのままズルズルと部屋まで引きずる。引きずることに変わりはないと思ったこに是非聞きたい!!これ以上に何かいい方法があるならば教えて欲しいお願いしますなんて自分でも誰に問いかけてるのかわからない自問自答もどきをしながらなんとか部屋に辿り着き、ベッドの片淵に回って引きずる勢いをつけてベッドに上げる。

…きっと腰とか痛いんだろうな…、お兄さんが起きた時に変に痣になってなけりゃあいいけど…なってたらごめんなさい。

よっこらせとフルパワーでお兄さんを誠一に横たわらせた後、一息ついて自分を労ろうとした時に気づいた。



シーツ下に敷いたまま横にさせてしまった…



「冗談きついよ…」



もう、なんであなたっていつもそうやって詰めが甘いの、馬鹿なの?
ひとつ大きくため息をついて乱暴に頭をかく。

もう私にこれを引いたりなんたりする体力ない…。別のシート出すか。とりあえず冷えピタと…あとなんか、何がいるんだっけ、看病って…
心身ともにこの一時間そこらの間で相当疲れきったらしい…拾ったからにはそんなこと言ってられないんだけどね…

おっかしいな…明日休みだヒャッホウとか騒いだのがそんなに気に食わなかったんですか神様…ああ、きっと神様には休みがないんだろ、それでこれはあれだね、ジェラシーだね…そっか…うん、そっか…





願わくば、起きた時のこのお兄さんがいい人でありますように…。
(そしたら私はこの疲労とかその他諸々なかったことにできると思うんだ…)









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