1-A1
今はジャージ姿だけどこれで出れないことはないし…
久しぶりにゲーセンにでも行こうか。
これでもUFOキャッチャーは得意だ。あと音ゲー。
季節は秋。
でもまだ夏が尾を引いてる感じで寒くはない。
ついでに買い物して、時間が余ったら一人カラオケでもしようかな。なんて…
考えれば楽しくなってくる。やっぱり遊ぶのは好きだ。
「動くな」
「ッ!!」
突然背後からかかる声。
…イケボだ。
って違う。
自分は今玄関に居て、靴を履くために座ろうとしたところだ。
目の前にある、外に繋がる扉を見てみれば鍵は閉まっていて、記憶を辿ってみればガラスドアも窓も全部鍵は閉まってる。
え、強姦?強盗?
どっちにしろどっから入ってきたんだ…え、意味わかんない。
ちょ、どうしようどうしようどうしようどうしようどうs
「オイ、正直に答えろ。さもなければ殺す。」
「………」
「返事をしろォッ!!!!」
「っ、へいっ!!」
なんなんだなんなんだなんなんだっ
なんか首筋に冷たいもの当たってるうううぅうう!!!
ナイフだ!!!そうだ絶対そうだ!!!死ぬっ!!
「貴様何者だ…」
「………は?」
「ここはどこだ。どうやって私たちを連れ出し、ここまで拐ってきた!!!!答えろ!!!!」
「はぁ!!!?」
予想をはるかに超える無茶苦茶な言い分に、驚きを通り越してもしかしたら頭イってんじゃないかと反射で振り返る。
「あ、おいっ!!!」
「ん?」
あれ、もう一人いたんだ。
なんか二人共イケメン。超イケメン。てか銀髪?
ていうーか…
「いっっ、ッったああああああああああ!!!!!」
「お前っ、大丈夫か!!!」
「ふん、放っておけ。」
「いいいいいぃぃいたいたいたいたいたいたいっ」
いいいぃぃいいいいいたあああぁぁぁああいいいいぃぃぃっ!!!痛い!!!!
首がっ、くびっ、く…
なんかナイフ長くない!!?なんか切れ味良すぎない!!?
首元が強く脈打ってて、どくどくとそれに合わせて熱いものが流れ出る。
それに合わせるように目元からもひやりとするものが頬を伝う。
思わず首に手を当てるとぬるりとした感触がし、ああ、血かと自分が怪我している現状を叩きつけられた。
やべ…
なんか視界が霞むような気がする。
ていうかいつの間に座り込んでたんだよ…さっきまで立ってたでしょ、自分…
あれ…
なんか視界傾いた…
銀髪の兄さんが二人して逆さまだ…
なんか言ってるみたいだけどぜんっぜん聞こえん…
死ぬならせめて、恋人作ってからにしたかったわ…
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