紫 | ナノ
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「ん、…ん、わかった。じゃあ気をつけて」





週に一度の頻度で掛かる国際電話。

それを切ってひとつため息をこぼす。



さて、何をしようか。

久々の休日に戸惑う自分がいる事に頭が痛くなる。
自分ほど休日好きはいなかったのに。いつからこうなった。


つい数ヶ月前までは家にとどまる事をせず遊びほうけていたのに、今はその真逆で家以外落ち着かなくなっている。

もっとも、その時とは住む家が変わったからというのが理由だということを自覚している。いや、それでもどうかと思う。まだ若いのに。





親とは元々仲が悪い。

高校卒業と共に家を出て、さぁ一人暮らしをしようという時に親友から

"家をもらったからそこで住もうぜ"

なんてありえない話を持ちかけられ、今に至る。


まさか本当に家もらってたとは思わなかった…





「…暇。超暇」





しかし今はこの無駄にでかい家でボッチ。

ここの家主は留学してしまっていない。元から自分にこの家の管理をさせるのが目的だったらしい。
そのお礼とか言って自分の大学費を払ってくれてる。


本当に意味が分からない。
同い年なのにこの差はなんなんだろ。





「あぁー……さってと、」











 →「……やっぱ出掛けよ」


 →「眠いし、寝ちゃおうか」


 →「シャワろ…」





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