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結局ソフィーの元に戻らざるを得なくなったわけだが鳴き止まないハチマキの腹の虫に最高にイラついて黙らせるためにもサンドイッチを作ってやった。
他にも空腹を感じる奴が居たようで有り得ない量のサンドイッチを作った。疲れた。
毒見だ何だ騒いでいた気がしないでもない。知らん。
「ここはどこなんだ…?」
「こっのやろォ……」
自分がさっき言ったことを忘れたのか…
口に出すのも億劫なそれを視線に乗せて睨みつける。くそったれが…
「わ、悪い…っ」
「やれそう殺気立つでない、こやつが言いたいのはそうではないのよ」
「あ?」
長いこと沈黙を貫いていたミイラが喋る。てかうそ、喋れるのか…
その横にいる刺々しい奴がさらに刺々しい何かをぶつけてくる。見えない何か。
「ココはわれらの見知った場所ではない、ナイ」
「だからなんですか、」
そんなことおまわりさんか何かに聞いて帰ればいいじゃん。日本語喋ってんだから海の向こうの住人ってわけじゃないんでしょ?
「見たことのないモノに溢れる、見たこともない景色はホンに不思議よ…」
「普通でしょ、檻にでも入れられてたんですか」
「貴様アァアアアアアア先程から黙って聞いていれば――…」
「これ三成、そう熱くなるでない」
刺々しい奴は表情ともども態度から声まで刺々しいらしい。
もう喋らなくていい…頭に響く。
ついでにハチマキの方も。あいつにはボリューム調節機能が備わっていないらしい。
「否、ホンに違うのよ…」
なにさ、違うって…。
自分のいるところは都会の中心というわけでもくそド田舎というわけでもない、どこにでもあるような場所だ。まぁ、家とか諸々の事情はそうでもないけどさ。
「……我の居たところに早馬よりも速く移動する鉄の塊があのように多く通ることはない。長曾我部のガラクタよりも遥かに役に立ちそうであったが」
「毛利てめぇ!!!」
「照日大鏡の頂上よりも日輪に近い高さを持つ建物らしきものまで数々見受けられる」
ここの連中は静かなのとうるさいのと半分ずつで均等が取れている、らしい。そんな感じ。紫二人は静かなのかうるさいのかよくわからんけど。
その後も彼らは自分にここが如何に自分たちの居たところとかけ離れているかをそこまで騒げるのかと驚く程の様子で話してくれた。てか勝手に仲間内で盛り上がっていた。
正直長い盛り上がりだった…途中で飽きた。刺々しいのももう飽きてた。
その間サンドイッチ作り足してたらミカンをよこせって言われたから奇跡的にあったそれを渡せばミイラと仲良く口にしてた。
表情と打って変わって花が飛んでいるようなオーラに我が目を疑った…自分は相当疲れてるみたいだ…
あれか、友人との国際電話のあとにこういう事態になったんだから全部あの電話のせいか。あとで責めてやr
「というわけなのだ!!名前殿!!」
「ん?ああ。はい」
「いやアンタ今確実に聞いてなかったでしょ!!!!」
「ん」
「ほらああああぁぁぁああああああ!!!!」
なんだってんですか騒々しい。
サンドイッチをまた一つ。位置的にそういや隣だった帽子さんにいるか聞く。
要らぬ。
そ。
餅を出せ。
そんなものありません。
「ねぇねぇ」
「ん?」
「名前サンて一人でここに住んでんの?」
「ん」
「金子に困ってない感じ?」
「ん」
「俺たちココ住んでもいい?」
「ん」
「うっそホントに!!?」
「誠にございまするかッ名前殿おおおぉおお!!!」
「ん」
しかし話題に上げられれば餅が食いたくなってきたかもしれない。なんか醤油っぽい海苔乗った奴がいい。
うし、買いに行くか。
とりあえず財布をズボンの後ろポッケに突っ込みいざ行かんという時にふと気づいた。
なんかさっきと比べて連中の騒ぎ方が違う。さっきまで餅だミカンだ言ってた奴らまで何だそんな顔してこっち見て…。
「なんか、悪ィな…」
「ヒヒ…ッ、物好きな者よ…」
「これからよろしくね〜名前サン」
「………ん?何がです?」
心なしか嬉しそうに見えなくもない連中。なんだ、あなた方も餅欲しいのか、金出せよ。
ていうかこれからってなんだ。
「しかし本当によかったのでござろうか…」
「だから何がです」
「某らを養ってくださるなど…」
「は?」
「…いかがした」
「いつの間にそんな流れになったよ…」
ていうか、え?あなた方帰らないの?拐ってないんだから自由に帰ってよ、玄関ならさっき教えたっしょ。
てかなんだよ紫の、ちょ、視線刺々しすぎるってなんだよ
「貴様自分が言ったことも忘れたのか」
「なんですか」
「元の場所に戻れるまでここにいるといったこと許可しただろう」
「え゛」
「我の世話を命ぜられたからには餅を常に置いておけ、買ってくるが良い」
「はああぁぁあああ!!?」
えっ、ちょ…いつの間に!?
そんなん聞いてないぞオイ!!!
こんな奴らの面倒みるとか無理だってんだあああぁぁアアアアアアアアアアアアア!!!!!
保護
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