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「……嘘でしょ」
他の奴らがいるという部屋に着いて行ってみればそこは客間で、まさかの男性6人。しかも無駄にイケメンがいる…あと変なのがいる…ていうか全員変だ。
そうか、自分は疲れてるのかと頭を抑える。
ゆっくりとソファへと足を進めると警戒されているのかその分距離を取られる。
4人がけと長めのこのソファは実はベッドにもなる優れもので自分のお気に入りでもある。よく眠れる。
そこに腰掛けるとそのまま身を倒し、背凭れに顔を向けてゆっくり目を閉じる。
…ああ…寝そうだ…。さすがソフィー…。
ソファーの名前はソフィー。
親友の変なネーミング癖も手伝ってかなんだか女性と同衾している錯覚に陥る。
いいねぇ、外国人女性。あれくらいのほどよい肉付きがいい…日本人女性の若者は細すぎる気がする…
おやすみ…
「ハッ!!」
勢いよく起き上がり手元を見下ろす。妙に手汗をかいている。
がいつもと変わらぬ落ち着くこの空間がいつも自分が寝落ちている客間のソファーだと気づきほっと一息つく。
「…なんだ…夢か…」
変に夢見が悪い自分が嫌になる。シャワーでもしてさっぱりするか、いや…寝室で寝なおすか気晴らしに外に出るk
「いや夢じゃないから」
「………チッ」
ダメだたったか。
そのまま黙って出て言ってくれれば悪夢として平和にことが終わったのに。
ため息をついて彼らの向き合うように背凭れに背を預ける。
「何用ですか」
「きっさまぁああなんだその態度は!!!!!!!!!!」
「う…るっさ」
さらにぎゃーぎゃーと騒ぎ立てる銀髪。
銀髪…?銀髪。超珍しいってそういやもう一人いた。
「っておいそこの。紫の眼帯の」
自分を刺されたことに気づいたお兄さんがびくっと肩を震わせる。
いいガタイをしているのに意外とビビりなのか?
「何してるんですか、勝手に触ってるな」
「わ、悪ィ…珍しかったもんで、つい…」
珍しいものと称したお兄さんが触ってたのはスピーカー。別にそう珍しいものじゃないが大きめだからだろうか…?
そういえばなんだかさっきより自分の態度が大きくなっているという雑になっているというかそんな気がする。
いや構わんけど。大いに構わんけど。
多分一々ビビってたり親切?つか、丁寧な対応してたらモタナイ気がする…
「それで、なんであなた方がここにいるんですか」
「失礼ながら、それがしは貴殿が連れてきたものだとばかり…」
「いや、何の得もないし」
言えば困った顔をされた。
いやマジで何の得もないんですって。振り返ってもいい目には遭わなかったしそもそも誘拐なんかしてみろ、あっけなく捕まってしまう。
いかん、それはいかん。
「だがよぉ、俺達ァこんなところにきた覚えなんてないぜ?そもそもここがどこだか分かんねぇしよォ…」
いやだからここ自分ん家…まあいいや。
「いいですか、まずここはなんの変哲もない自分が住んでるただの家で、あなた方のことは知らないし興味もないし拐ってなんかもないです。分かっていただけたならそこの扉出て右にまっすぐ行けば玄関なんでそこから好きに帰ってください。てか帰って」
お願いだから。
それだけ言うと居心地の良かったソファを立ち、キッチンに向かう。もうシャワーをする気も寝る気も出かける気も失せた。なんて日だ、面倒なことこそこの世で一番憎く思う相手なのに。
呆然とする者、狼狽える者、こちらを睨み付ける者と反応はそれぞれだったけど知ったこっちゃない。サンドイッチ食いたい、作る。
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