短編 | ナノ







…名前が悪い。名前が悪いんだ。



いつもよりそっけなくしようにも、そういえば会話もmailもcallも全部俺からするんだったことに気づいた。I'm shock…

でもしなかった。行かなかった。

すごく、辛いものだった、…声を聞きたくて、視界にとらえてほしくて、傍に居たくて…
でも我慢したんだ。なのにどうしたのと話しかけるどころか同じclassなのに俺が絡みにいかなけりゃ目すら合うことがなくて…


放課後名前に残ってもらって話をしようと思ったんだ。



"久しぶり。どうした?"



いつもと変わらない様子で、まるで何も起きなかったかのように…



"……言わなきゃ何も分からないよ"



―――……………ッ、



"キライだッ、キライだ…っ!!名前なんかもう…ッ、"





大キライだ、



気がついたら思いっきり叫んで、教室から逃げるように走って出た。
そのまま学校を出て、ふらふらとどこに行くでもなく足を動かして、自分の行動を振り返って足取りが重くなった。



名前が、悪いんだ…。

だって俺は、俺はただ名前が好きで…振り向いてほしくて…、
ああ、こんなことを言っていたら名前へのbetrayalになる…?でも、じゃあ、俺がこんなに名前を好きでいるのに応えていない名前のそれはbetrayalにならないのか…?

わかんね…わかんねぇよ…。
俺の感情を無理矢理押し付け続けて単に面倒に思った名前がOKしたってだけかもしんねぇ。そんな、俺が繋ぎ止めてねぇと離れちまうような関係だが、付き合えた、それが俺の中では本当に大きなhappeningで…、Ah…


好きだ…


好きだ、名前…


無愛想だなんて他人は言うが…たまに微笑む名前を知らねぇからそう言えるんだ。俺がselfishなことを言ってれば困ったように笑って頭撫でてくれるし…たまにしか見せねぇがちゃんと優しい一面だって、ある…。たまにだからこその破壊力が、っていってもわかんねぇ顔するguysばっかで……ったく、

Ha!名前の愛しさなんて俺だけが分かってりゃいいんだ!名前のcharm pointは俺だけが知ってりゃいい、俺だけが名前を見て、俺だけを名前が見てくれりゃあいい
ただ来るもの拒み、去るもの追わずだからな…。もういいなんて別れを切り出したりしたら"ああ、そう"とか言って捨てられちまう。はは、まぁそこがcu…


Oh my…、
俺はさっき…名前に、…………ッ!!やばい、まずい、やべぇ…ッ、



「名前ッ――…」

「政宗!!!」

「…――!?」



行かねぇと、すぐ名前のとこに戻って謝らねぇと…、
そう思って踵を返したとき大きく名前を呼ばれて、次の瞬間には抱きつかれた



「…、なまえ…」



心の底にとんと落ち着くような声は間違いなく名前のもので、自分の腕の中に居る感覚は初めてで、触覚も視覚も聴覚も全部疑いそうになったが…全力で走ってきたのか肩で息する名前は熱くて、暖かくて、ああ…本物だと泣きそうになった



「どう、した…?」



時折咳き込みながら呼吸を整えようとする名前。顔を見られたくないのか下を向いてるのがひどく愛しくて、初めて名前を撫でる手は少しだけ震えていた



「政…宗、まさむね、っ…ごめん、ごめ…」

「な、名前…What happened?少し落ちつ――…」

「ごめん、お願い、政宗…っ、置いてかないで、おいてかないでっ、置いてくな…ッ」

「ッ、」



ぎゅっと俺の服を握りしめる名前に俺の心臓まで締め付けられて、妙に苦しかった。でも甘くて、名前を想う時に伴う胸の疼きと同じに感じられて、名前を抱き締めたい衝動を我慢できなかった



「名前…」



はじめてだ。

初めて名前を呼ばれて、初めて取り乱してくれて、初めて息を切らした名前を見て、初めて、初めて、はじめて…


初めて名前の心を手に入れた気がした





人通りが多すぎるとまではいかねぇが、道の上でああ抱き締めあっていては人の視線も集まるわけで、俺としてみれば見せつけない気分だったが俺ですら初めて見る名前を他に見せる気にはならなくて、近くにあった行きつけのcafeteriaの個室へ通してもらった



「Um……、Sorry」



さっきは勢いもあって色々となんとかなっていたがいざ一度落ち着きを取り戻すと…どうにも気まずい。目をそらして場をやり過ごしたかったが、初めて見る気弱な名前から目を反らすのはもったいなくて、おそらく頬が赤くなっていると分かっててもじっと目を向け続けた

Orderした紅茶に目を向けながら指でティーカップを撫でる名前。名前も言う言葉を探してるのか思い詰めた表情をしているように見えて、別の話で気を紛れさせようとした、その時だった



「…別れたくない」

「……、」

「政宗は私に愛想を切らしたのかもしれないけど、…別れたくない」

「名前、なん―…」

「別れない。」

「……」



ごくりと、のどが鳴った。呼吸がしにくい、泣きそうで、なにの口元がニヤけそうで、抱き締めてしまいたい衝動がまだこの余裕のない表情を見ていたいと引き止める。

嬉しい…嬉しい、嬉しい、うれしい…



「…なんで、そう思った」

「飽きたのかと」

「なん…………、」



なんでそう思った、とまた同じことを聞こうとして、もしかして名前のこの発言は俺の態度に原因があるのかと思って…名前に目を向ければ肯定するようなまっすぐな眼差し。
Ah…jとまではいかずとも、何か思ってはくれたのか…



「別れたく、ねぇ?」

「何度も言わせないで」

「…Why…?」



少し調子に乗ってみたが、俺が思ってる以上に緊張してて、それを隠そうとちゃらけてみようにも声が掠れて言葉にならなかった。



「好きだから」



ドクンとひときわ大きく心臓が脈打ったように感じた。



「好きだからよ、政宗」



初めて見る…熱を帯びた名前の目。
俺をまっすぐ見てる、名前の瞳に映って見える俺が情けねぇ顔をしてて、

かっこ悪ぃ…

そんことすらも考える余裕を奪われて、目頭が熱くなった。机が邪魔だ、今すぐにでも抱き締めたい、手が、体が、心が揺れる


やっと言ってもらえた、
初めて言ってもらえた、
ちゃんと思ってもらえた…


ああ…名前、名前…なまえ……



「なまえ…」

「ん、」

「好きだ、名前…」

「……知ってる」

「好きだ」



好きだ、好きだ…好きだ、好き…
馬鹿の一つ覚えみてぇに繰り返して、名前のいる視界が徐々に歪んでいく

Ah…見えねぇ。名前が今、どんな表情をしてんのか見てぇのに、困ってんのか、イラついてんのか、それとも…喜んでくれてんのか…


知りたくて、しりたくて、手を伸ばしたら掴んでくれた



名前がちゃんと、手の届くとこに居てくれた












政宗と名乗る梵



(?)




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