オムライス
「おじさん」
「だっ?!おいおいおいおい、勘弁してくれよぉ。サラまで俺をおじさん呼ばわりすんのかぁ?」
ここはアポロンメディア、ヒーロー事業部。
私はタイガー&バーナビーの取材スケジュール担当者なるものをやっている。
お昼に誘おうと思って、ワイルドタイガーこと、虎徹さんに声をかけたのだ。
バーナビーが彼をおじさんと呼んでいるので、真似をして呼んでみた。
「お昼、食べましたか?」
「いやいや、まだだ」
「よかった!このビルに、新しくオムライス屋さんができたんですよ!良ければご一緒しませんか?」
「いいねぇオムライス!行こう行こう!」
バーナビーがいないのが少々残念だが、二人でオムライス屋さんへ向かう。
「サラはオムライスに何かける派?」
「私は断然、デミグラスソース派です!」
「だっ!マジか!!邪道じゃねーかよぉ」
「何言ってるんですか!普通はケチャップとかデミグラスソースが王道ですよ!それこそマヨネーズが邪道じゃないですか!」
「マヨネーズは万能だからな!これこそ王道だよ!」
「そんなにマヨネーズばっかり使って、プニップニになって、楓ちゃんに嫌われても知りませんよ?」
「だーーーーーっ!ヒーローだから太らねーよ!」
「何を二人で喧嘩してるんですか?」
「「バニーちゃん!!」」
「サラさんまで!僕はバニーじゃなくてバーナビーです!」
そう、いつものように訂正に入ってきたバニーちゃん。相変わらず、ハンサムフェロモンをばらまいている……
「んなこたぁどーでもいい!バニー!お前はオムライスに何かける派だ?!」
「そんなことを喧嘩してたんですか?まったく…あなた方は……」
「で?バーナビーはどっちなんですか?」
「僕は……」
「何名様でしょうか?」
あ。もう目的のオムライス屋さんに到着してしまったようだ。
「三人です」
サラリと答えたバーナビーは一緒にオムライスを食べるようだ。
「三名様ですね。奥のテーブル席へどうぞ」
この店は当たりだな。とてもオシャレな店内だ。小綺麗な喫茶店を連想させる、落ち着く空間。アポロンメディアの社員しかおらず、虎徹さんとバーナビーは気にする必要はない。気に入った。
案内された席は恐らく、この店で一番いい席だと私は思う。他の人の目に付きにくい。尚且つ店内もシュテルンビルトも全体が見渡せる。はい決定。常連になろう。
実はこの店。アポロンメディアビルの最上階に近い階なので、景色はとても素晴らしい。夜景も凄そうだ。
バーナビーと虎徹さんが私の正面に座る。いつもランチはこのパターン。三人でメニューを覗きこむ。
なんとなんと、オムライスは好きなように細かくチョイス出来るようだ。玉子の焼き加減や、ソース、ライス。それぞれ違うものを選ぶ事が出来る。
「だっ!」
「なんですか、おじさん」
「マヨネーズが無いじゃねーか!」
「ほーら!邪道なんですよマヨネーズは!じゃ、ど、う!」
「万能だからイーんだよ!こうなったらマイマヨを」
BEEP!!BEEP!!
突然、二人のPDFが鳴り出す。事件のようだ。CALLかかっちゃった……
「すみません、サラさん。また次の機会に三人で来ましょう」
「悪いな、サラ」
「仕方がないですよ、気をつけてくださいね!」
「行ってきます」
颯爽と走っていく二人はなかなかのコンビだと思う。バーナビーは不器用なところもあるけど、頭が切れてハンサムだし。虎徹さんは古い人間の考え方だとは思うけど、自分の正義を貫く素敵な人。
「あーぁ。オムライスはお預けにしようかな、二人がいないとなんか気分じゃ無くなってきたし」
店員に断って店を出たら、ロビーの巨大スクリーンにはちょうど二人が登場したところだった。二人を見て、小さいため息がひとつ零れた。
そういえば、バニーちゃんは結局どっち派だったんどろうか?
聞き逃してしまったな………
またすぐにみんなで食べれるよね?
……………オムライス。
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